洋上風力発電では、小型施設分散型を基本とする再生可能エネルギーにおいて、大型施設で集中発電する洋上風力発電は必要なのかという疑問が残る。
ドイツは当初、地方分散型で再生可能エネルギーを進めていた。しかし中道左派から中道右派政権に政権交代して、洋上風力発電にも重点が置かれるようになったといわなければならない。
これはすでに述べたが、再エネに出遅れた大手電力を再エネに進出しやすくするための大手電力の救済措置だったといってもいい。
ただドイツでは現在、洋上風力発電を中心とする集中型と分散型を並行して利用したほうがより安定供給しやすいとする見方が主流になっている。
ただこれについては、本当にそうかという疑問が消えない。
分散型では再エネだけで安定供給できるのかどうかという不安が、経済界に大きいのも事実。そのためには、大型集中型路線もあったほうがいい。またそのほうが、資本力のある投資家の投資が期待できる。
でも分散型によるシステム化が進んでいけば、大型集中型が不要になるのではないかと後になってはっきりしてくることも予想される。その意味では、洋上風力発電は過渡的なものと見ておけばいいのではないかという気もする。
過渡的なものといっても、海洋に設置された施設をどう処分するのかを考えるとやっかいなものをはじめてしまったことになる。
また、洋上風力発電が電力供給システムの中に組み込まれてしまうと、そこから抜け出すことが難しくなる。最終的には、それによって発電のコスト増にもなりかねない。
問題は、今の段階で分散型だけで安定供給ができると確実に保証できないことにある。これは、再エネに関わることがすべてラーニング・バイ・ドゥーイング(learning by doing)的なところが多いからでもある。
でもこれが、洋上風力発電が本当に必要なのかと聞かれても、確実に答えることのできない背景でもある。
(2019年7月08日)
洋上風力発電の課題
(1)統一ルール (2019年3月23日)
(2)港湾基地 (2019年3月30日)
(3)命がけの作業員 (2019年4月27日)
(4)漁業権は保護されない (2019年5月05日)
(5)国が指定する洋上風力発電区域 (2019年5月11日)
(6)海底ケーブル (2019年5月25日)
(7)発電施設の寿命 (2019年6月01日)
(8)構造上の問題 (2019年6月22日)
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