2019年2月23日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
配電網とガス配管網を公営化したプファッフェンホーフェン市

ドイツ南部バイエルン州のプファッフェンホーフェン市は、大都市ミュンヒェンの北に位置する。市全体の85%弱が森林と農地で、人口も2万6000人と小さな自治体だ。


同市は2013年、地球環境保護コンセプトを決議。2030年までに二酸化炭素の排出量を50%削減することを目標とした。最終的には、再生可能エネルギーによる分散型のエネルギー供給で地産地消を目指すとしている。


2012年には市民エネルギー組合が設立され、エネルギー転換に向けて市民参加を促した。組合はまず、市の公共施設の屋根にソーラーパネルを設置することからはじめた。


組合の設立は、エネルギー転換を市民の手によって民主主義的、社会的に行うという意味で、プファッフェンホーフェンの再エネ化にとってとても重要な判断だった。ヘルカー市長は、「役場だけでは何もできない。地元市民の活動がとても必要だ」と語る。


さらに翌2013年、自治体エネルギー公社(シュタットヴェルケ)を設置して、配電網とガス配管網の公営化を進めた。それとともに、再生可能エネルギーをベースとした電気、熱の供給をはじめる。ヘルカー市長は、「シュタットヴェルケをはじめたのは、配電網とガス配管網を整備する上でも技術的に大きな意味があった。シュタットヴェルケは、エネルギー転換を実現する上で一つの重要な基点だった」と振り返る。


現在、公共施設の電気はすべて再生可能エネルギー化されている。だが、市全体ではまだ電気供給の70%が再エネ化されているにすぎない。でも市全体で、900の発電事業者が発電している。その中心が市民であるのはいうまでもない。


今後の課題は、交通の再エネ化だ。すでに電気自動車や電気自転車の普及を進めているが、2017年10月に余剰電力で水素を製造することを開始した。水素は二酸化炭素を加えてメタンガス化し、それを天然ガス車に利用する計画だ。


それによって、2020年までに約250台の天然ガス車にガスを供給したいとしている。


(2019年2月23日)
記事一覧へ
関連サイト:
プファッフェンホーフェン市公式サイト
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ