2019年1月12日掲載 − 再生可能エネルギー
10年でエネルギー供給地域に変遷したライン・フンスリュック郡

ライン・フンスリュック郡は、ドイツ南西部のラインラント・プファルツ州東部にある。フランクフルトの北西に位置し、フランクフルトからもそれほど遠くない。人口は全体で、10万人余りとなっている。


20年ほど前までは、郡には発電設備が一つもなかった。エネルギーをすべて他の地域から「輸入」していた。それが現在、郡全体の総エネルギー消費の3倍にもなるエネルギーを創出し、他の地域にエネルギーを供給している。


当時、一体誰が現在の状況を予想しただろうか。


きっかけは、1995年に200世帯向けに風力発電施設を設置したことだった。現在地域では風車271基が稼働し、30万以上の世帯に必要な電気を発電している。


それとともに、地元自治体に風車の土地賃貸収入が入るようになる。同時に、地元に新しい雇用が創出されるようになった。地域には137の自治体があるが、そのうちの半数近くが風力発電から土地賃貸収入を得ている。


各自治体は、省エネ条例を制定した。住宅の省エネ推進のため、一世帯当たり6000ユーロ(約80万円)の補助も提供してきた。住宅の照明も、無償でLEDランプに交換した。


ソーラーパネルを設置するため、自治体の施設や学校の屋根を提供した。地域内でソーラーパネルを設置できそうな場所を示す地図も作成した。2008年にソーラー組合を設置して、ソーラーパネルの設置に住民が参加しやすいようにした。


現在、地域の建物の屋根には4400に及ぶソーラーパネルが設置されている。それだけで、地元の電力需要の18%をカバーできる。自家発電自家消費を促すため、ソーラーパネルと蓄電池を一緒に設置すれば、投資コストの最高30%までが自治体によって補助される。


2002年には、地元のスポーツ施設で必要な温水を供給するため、施設の屋根にソーラーコレクターを設置した。暖房の熱を供給するため、学校などの施設におがくず用のボイラーも設置した。また、住宅の庭から排出される枯葉などのゴミもボイラーで燃やして、学校に熱を供給している。現在、生ゴミがバイオマスとして利用されている割合は50%程度だが、それをさらに高めて生ゴミのほとんどを資源として利用したいという。


地元住民の意識改革も、積極的に行ってきた。住民が共同で資金を出し合って、地域暖房熱を供給するための配管網も敷設してきた。現在住民配管網が16カ所にあり、556の建物に熱が提供されている。


今後さらに、住宅から排出される生ゴミを発酵させてバイオガス発電する施設も設置する。また、地元で電気自動車を普及させるプロジェクトも開始する予定だ。


ライン・フンスリュック郡では、こうした地域エネルギー転換によって現在、年間約4400万ユーロに上る生産価値(註1)を生み出している。とても効果的な地域振興策だといえる。


(註1)ここでは、純付加価値のこと。総生産額から経費を引いた価値。利益、人件費、税金などを足した総額。減価償却費は含まれない。

(2019年1月12日)
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関連サイト:
ライン・フンスリュック郡公式サイト
再生可能エネルギーに取り組む自治体のサイト
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