2019年12月01日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
2019年ドイツ再エネ州間比較

ドイツの再生可能エネルギー機関(AEE)は2019年11月27日、ドイツ各州における再生可能エネルギーの政策、進捗度などを比較するドイツ再エネ州間比較を発表した。


それによると、ドイツ北部のシュレスヴィス・ホルシュタイン州が総合でトップ、第2位にはドイツ南西部のバーデン・ヴュルテムベルク州がランクされた。


州間比較は、2008年からベルリンのドイツ経済研究所(DIW)などの研究機関と協力して行われるもので、2年ないし3年毎にその結果が発表される。


比較の対象となるのは、州の再エネ政策と取り組み(インプット)とその実現状況(アウトプット)、再エネの技術開発政策と経済構造改革への取り組み(インプット)とその実現状況(アウトプット)で、全体で61項目に及ぶ。


ここで、注目されるのは、ベルリンやハンブルクなど都市州では政策と取り組みがよくても、実際に再エネを普及されるのが難しいことから、ランクが低いこと。政策を常に更新して具体化させていかないと、再エネの実現度が落ち、ランクも下がっていくことだ。


たとえば、初期段階で常にトップだったブランデンブルク州がその典型的な例で、現在、同州は中上位くらいにしかランクされない。


もう一つ重要な点は、外観だけでは再エネの進捗度を判断できないことだ。今回1位だったシュレスヴィス・ホルシュタイン州では、風車があちこちに目立ち、エネルギー転換が進んでいるように見える。


それに対して、2位のバーデン・ヴュルテムベルク州では、風車がほとんど設置されていない。しかし、バーデン・ヴュルテムベルク州はドイツの中でも最も早くから積極的に熱供給の再エネ化に取り組み、最も再エネによる熱供給が進んでいる。また、電気自動車や水素自動車への取り組みでも、そのためのインフラ整備や技術開発が進んでいる。


こうして見ると、エネルギー転換というのは、日本のように発電ばかりに注目するのではなく、いろんな面から取り組まなければならないことがわかる。


(2019年12月01日)
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関連リンク:
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2019年再エネ州間比較短縮版(ドイツ経済研究所週間レポート)
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