2019年7月30日掲載 − 脱原発
出口戦略が必要

前回、廃炉によって排出される放射性廃棄物は低中レベルだと書いた。しかし、廃棄物を1日に最終処分場へ搬入できる容量には限界がある。そのため、最終処分するまで長い間中間貯蔵しなければならないと指摘した。


ドイツではこれまで、中間貯蔵に40年想定されてきた。しかしそれどころか、50年以上必要になるのは明らか。状況によっては、中間貯蔵に100年必要になることも十分考えられる。


ただ、低中レベル放射性廃棄物は廃炉によってだけ排出されるわけではない。原発が通常運転している限り、毎日排出されている。たとえば、職員が使った防護服や手袋、メンテナンスや掃除に使ったラップなどの消耗品など。また放射能に汚染された水は、セメントに混ぜてコンクリートとして固める。


一般的には、使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物の処分に対する注目度が高い。でも、低中レベル放射性廃棄物の処分も安全に行われなければならない。


特に、注意しなければならないのは、廃炉によって低中レベル放射性廃棄物の排出量が莫大に増えることだ。また原子炉の運転期間が長くなればなるほど、廃炉において除染を十分にしなければならなくなる。それでも十分に除染しきれず、低中レベル放射性廃棄物として処分しなければならないものが増える可能性がある。


そこで問題になるのは、最終処分にどれくらいの容量が必要かということだ。


でもこの問題は、原発を停止させる時期を確定させないと、いつまで経っても解決できない。


日本は、核燃料サイクルを確立して永久に原子力発電を続けるという幻想を抱いている。しかし、核燃料サイクルなど夢の夢なことは明らかだ。世界中どこを探しても、まだ核燃料サイクルを実現すると、非現実なことをいっている国はない。


これは、どう擁護して延命させようが、原子力発電がいずれ終わりを迎えるということだ。原子力発電の場合、すべての原子炉が停止しても、その後に放射性廃棄物を処分しなければならないというやっかいな問題が残る。


放射性廃棄物をできるだけ安全に処分するには、早い段階からその対策を講じなければならない。早く出口戦略を考えるということだ。


そして出口戦略で一番大切なのは、いうまでもなく、いつまでに原子力発電を止めるかだ。その前提がない限り、出口戦略は成り立たない。


ドイツは脱原発を決め、ようやくこの現実を認識できたと思う。


(2019年7月30日)
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