2019年10月29日掲載 − 脱原発
廃炉決定後に再稼動は可能か

ドイツは、2022年までにすべての原子炉を停止し、脱原発を完結する予定だ。停止された原子炉のいくつかでは、すでに廃炉工事もはじまっている。


地球温暖化の問題から、二酸化炭素を排出しない原子力発電を維持したほうがいいと主張する保守政治家や企業家がいるのも事実だ。反原発派の中にも、いつ何時原子力発電に復帰するかわからないと、警告する活動家もいる。


実際には、再エネいろはでも述べたように、再生可能エネルギーと原子力発電は電力供給において、もう両立しない。それは、ドイツでは発電における再生可能エネルギーの割合が40%を超えているからだ。再生可能エネルギーの発電量に大きな変動があるので、発電量が常に一定の原子力発電ではその変動に対応できない。


そのためドイツでは、現実問題としてもう原子力発電に戻る可能性はない。ただ敢えていうと、現在まだ稼働中の原子炉をできるだけ長く稼動させることはできる。


その場合、電力側にはかなりのコスト負担増になる。現在、電力市場が自由化されて競争が激化しているので、それもあまり現実性がない。


廃炉を決定した後に原子炉を再稼動することも、技術的には不可能ではない。でもそれには、さらに莫大なコストがかかる。だから、その可能性はもっとないといっていい。


すでに廃炉工事がはじめっておれば、再稼動は不可能だ。


そんなことはないと思うが、廃炉を決定した後でも、再稼動できるように原子炉を維持、管理すれば別問題だ。その場合も、再稼動するまでに人件費も含め、莫大なコストがかかる。


再稼動を待つには、核燃料を冷やすために、冷却系統を稼働させる。その他にも、制御棒を入れて臨界しない状態にする以外は、原子炉は通常運転に近い状態にしておく。そうしないと、配管や機器が痛む。メンテナンスや安全管理も必要だ。


そこから再稼動するには、圧力検査などいくつもの検査を行い、問題がないことを事前に確認しなければならない。


その意味で、フクシマ原発事故後、9年近くも停止させたまま再稼動できるように原発を維持している日本は、どうするつもりなんだと疑問に思う。そこまでして再稼動に固執しても、コストが膨らむだけだ。


そう見ると、日本で2020年から容量市場を開設するのは、古い原発の維持費をそれで少しでもカバーする意図もあるのかなと察しがつく。


もちろん原子炉を新設するにはたいへんな時間と費用がかかるので、待機期間次第だが、再稼動を待つほうが多分、コストはかからない。


(2019年10月29日)
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