2019年2月19日掲載 − 脱原発
汚染金属を溶解する

廃炉において除染するのは、できるだけ放射性廃棄物の量を減らしたいからだ。廃炉によって排出される廃棄物をすべてそのまま放射性廃棄物として処分すると、最終処分に莫大なスペースが必要となる。


それを避けるために、除染する。


これまで除染の方法をいくつか挙げてきた。これらはすべて、廃炉現場でできる除染だ。


それに対して、ドイツ西部ノルトライン・ヴェストファーレン州にある鋳物工場では、汚染された金属を電気炉で溶かして除染している。放射性物質を取り扱うため、鋳物工場には放射線管理区域が設置されていた。


放射能に汚染された金属は廃炉現場からそのまま、コンテナなどで鋳物工場に運び込まれる。金属は通常、廃炉現場ですでに小さく切断されている。それを電気炉に入れて溶かす。


赤く燃えている電気炉には、次から次に汚染金属が入れられる。電気炉では溶けた金属が沈殿し、上澄み液が上部に残る。


電気炉が一杯になると、砂のようなものが電気炉に入れられる。それによって、電気炉の上部に溜まった上澄み液が固まる。まず、それを取り出す。


この上澄み液に、放射性物質のほとんどが溜まっているという。たとえば放射性セシウムでは、その99%以上がこの方法によって除去できると説明された。


電気炉に残った赤く溶けた金属は、円筒型の鋳型に流し込まれ、金属インゴットが造られる。


インゴットは、最終的に測定される。クリアランス基準(これについては、次回説明)を下回ったものは、一般の金属スクラップ材としてリサイクルされる。クリアランス基準を上回ると、まだ放射性廃棄物扱いだが、たとえば使用済み燃料のキャスクの原材料として鋳物工場で再利用されるという。


汚染金属を電気炉で溶解することで、かなりの金属がスクラップ材としてリサイクルできるようになる。しかし、放射性物質が完全に除去されたわけではない。


クリアランス基準をクリアして放射性廃棄物でなくなると、まったく汚染のない他のスクラップ材と区別されなくなる。そのため、放射性物質がまだ残っている可能性のある金属スクラップが何に使われたのかわからなくなる。


それが問題だ。でも電気炉による除染方式は、他国へも輸出されているという。


(2019年2月19日)
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