これまで、除染の記事で何回か述べたことがあると思う。だが、その重要性についてはっきり述べてこなかった。そのため除染の測定問題を中断することになるが、ここでしっかり把握しておきたいことがある。
それは、低圧にするということだ。
低圧にするとは、大気圧よりも気圧を低くするということ。その逆が高圧で、大気圧より高くすることをいう。
グライフスヴァルト原発の廃炉現場では、中間貯蔵施設と除染施設が低圧になっていた。中間貯蔵施設内には、大きな機器を切断する特別な部屋があり、そこは中間貯蔵施設内よりもより低圧になっていた。
それでは、なぜ低圧にするのか?
汚染された部材を切断して保管したり、除染したりする場所では、部材に付着した放射性物質が空気中に飛散する可能性が高い。そのため、汚染された空気が外に放出されないようにするか、空気をフィルターで除染してから排気しなければならない。
でもフィルターで汚染をすべて濾過しているかどうかはわからない。むしろ、汚染された空気を外に出さないようにしたほうが安全だ。
そのため、汚染された空気のある空間を大気圧より低くしておけば、空気は気圧の高いほうには流れない。そうすれば、高価なフィルターも必要ない。
だから、中間貯蔵施設と除染施設は低圧になっている。そこに出入りする時も、一旦中間の空間に入って出入りする。その中間の空間で、気圧を調整してから出入りしたほうがより安全だ。だが、グライフスヴァルト原発の廃炉現場では、そこまで厳密にやっていなかった。
同じことが、測定施設についてもいえる。いくら除染された後とはいえ、測定施設では、完全に除染されたかどうか確認するために測定する。放射性物質がまだ付着している可能性もある。その意味では、測定施設も低圧になっていたほうがいいようにも思う。ただ、除染された部材の入った小さなカゴの数を考えると、それを出し入れする度に、気圧のことは考えておれない。
グライフスヴァルト原発の廃炉現場では、測定施設は低圧にはなっていなかった。
もう一つ大切なのは、汚染部材があるところの床を防塵塗装して、床材の中に放射性物質の粒子が入らないようにすることだ。グライフスヴァルト原発の廃炉現場では、除染施設と中間貯蔵施設の床が防塵塗装されていた。
細かいことだが、こうした問題も押さえておきたい。
(2019年4月02日) |