2019年4月23日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
何のための測定なのか?

原発など原子力施設において、放射能で汚染された放射線管理区域に入る時には、十分な管理が要求される。


放射性物質の飛散する除染施設は、放射線管理区域だ。そこに入る時は、用意された下着に着替え、作業服を着て入る。出る時は、その下着を脱いだ状態で測定された。測定は、からだに放射性物質が付着していないことを確認するためだ。


放射線管理区域だけではない。原発敷地内に入るだけでも、入場時に測定し、出る時にも測定させられたこともある。


廃炉現場では、取材に使う機材は事前に届け出る。放射線管理区域に入る前に機材だけを測定し、取材が終わるとまた機材の汚染を測定した。


こうして厳重に測定するのは、なぜなのか?


それは、放射線管理区域において放射性物質が洋服やからだの一部に付着し、それが付着したままの状態で、放射線管理区域から出るのを防ぐためだ。そうしないと、放射線管理区域から放射性物質を持ち出すことになる。


これは簡単にいえば、放射能汚染が拡散されるのを防ぐためだ。放射線管理区域から放射性物質が持ち出されることによって、放射線管理区域に入っていない一般市民が二次被ばくするのを防ぐためだともいえる。


となると、ここで一つの疑問が出てくる。


放射線管理区域に出入りする時は、二次被ばくを防止するために厳重な管理をする。それに対して、廃炉によって排出される部材にはなぜクリアランス基準が設けられているのか。クリアランス基準さえ下回っておれば、放射性廃棄物とはならないで、一般社会に持ち込んでもいいのはおかしくないのか。


筆者が放射線管理区域に入れば、厳重に測定して放射性物質が外にでないようにする。でも、廃炉によって排出された部材は汚染されていても、クリアランス基準さえクリアすれば、放射性物質が拡散されてもいいという。それでは、二重スタンダードになっているのではないか。


いや、人間同士のほうが二次被ばくする危険が高いから、人間で管理を厳しくしているというかもしれない。


でも、汚染されていても放射性廃棄物ではなくなると、廃炉部材は何に再利用されるのかもう管理されない。廃炉によって排出された鉄材が、プライパンや鍋など日常生活に使われるものにリサイクルさいていないという保証はどこにもない。


それでは、汚染はまったく管理されていない。


(2019年4月23日)
記事一覧へ
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ