2020年2月11日掲載 − 脱原発
再処理しても放射性廃棄物が排出される

原子炉で使う核燃料は、約1年あまりのインターバルで3分の1ずつ新しいものに交換される。取り出された使用済み核燃料は、まず原子炉の貯蔵プールで冷やされる。


貯蔵プールで保管する期間は約5年。その後、使用済み核燃料を輸送・保管容器(キャスク)に入れて中間貯蔵施設で保管し、最終処分する。それが直接処分といわれる方法だ。


もう一つは、使用済み核燃料を解体して、そこから核分裂によってできたプルトニウムを取り出す。プルトニウムは、核燃料として使用される。これが再処理だ。再処理によって、使用済み核燃料の入っていた使用済みの燃料集合体と、核分裂によってできたその他の放射性核種が排出される。


再処理によって排出される廃棄物の放射性濃度は、非常に高い。取扱も難しい。そのため、溶かしたガラスと混ぜて固め、ガラス固化体といわれるものにする。それをキャスクに入れて、まず中間貯蔵する。


国によっては、ガラス固化体専用の小さな容器に入れ、中間貯蔵において別に保管しているところもある。


再処理によって得られたプルトミウムは、二酸化ウランと混ぜてMOX燃料といわれる核燃料にされる。日本では、MOX燃料を既存の原子炉で使用することをプルサーマルという。


このプロセスを繰り返して、核燃料を永遠に使おうとするのが、核燃料サイクルといわれるもの。しかし現在、再処理は技術的にまだ1回しかできていない。使用済みMOX燃料を再処理している国は、まだどこにもない。それは、使用済み核燃料を再処理するよりもさらに難しいからだ。


再処理を行っている国も、フランスや日本などごく少数の原発国しかない。


再処理施設を有していたイギリスでは、再処理施設自体が閉鎖されることが決まった。ドイツは1990年代はじめに国内での再処理を断念。再処理をフランスとイギリスで行ってもらっていた。それも2000年代になって止めてしまった。


再処理することによって、使用済み燃料以上に放射能濃度の高い放射性廃棄物が排出される。それを処分するため、コストが膨らむことも考えなければならない。


ぼくは以前、ドイツ電力大手の再処理契約から再処理によるコスト増を換算したことがある。


その結果、再処理によって排出される放射性廃棄物は、使用済み燃料を直接処分するよりも1kg当り(燃料集合体などの重金属も含めて)90万円割高となった。この値は平均値ではなく、単なる中間値だ。実際には、それよりももっと高くなっている場合も多いと見られる(過去の記事「核燃料サイクル維持への疑問」を参照)。


日本の原子力行政では、この再処理によるコスト高が無視されている。


それはなぜか。


核燃料を永遠に何回も再処理して、核燃料サイクルを確立することができると信じられているからだ。そのため、核燃料サイクルがある限り、使用済み核燃料が残らないことが前提にされている。


幻想だといわなければならない。核燃料サイクルにおいて、何回も再処理を繰り返すのは技術的に不可能。コストも膨らむばかりだ。


核燃料サイクルを確立したと思っても、使用済みMOX燃料の再処理を永遠に繰り返すことはできない。最終的に、何らかの使用済みMOX燃料が残る。


それが幻想だと明らかになった時、最終的に残った放射性廃棄物(最後に残る使用済みMOX燃料)を処分する資金が積み立てられていないことも明らかになる。その負担は、誰が負うのか。


その負担は、後の世代に押し付けられている。それが、日本の原子力行政の現実だ。


(2020年2月11日)
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