2020年8月25日掲載 − 脱原発
最終処分地選定調査の費用は誰が払うのか?

1999年に設置された最終処分地選定部会(AkEnd)は2002年12月、最終諮問案をドイツ環境大臣に提出した。そこでは、地質学上の基準、社会学上の基準の他、最終処分地の選定を住民参加で行うこと、最終処分地は低中レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物で分け、最低2カ所必要であることが勧告された。


しかしドイツでは、最終処分地の選定はその後、長い間まったく進行しない状態が続く。


それは、新たに最終処分地を選定し直す予算を誰が負担するのか、はっきりさせることができなかったからだ。


最終処分は通常、電気料金の一部を最終処分のために積み立てて資金調達する。それで十分足りるのか甚だ疑問だが、国際的にもそうなっている。そうして集まった資金は、電力会社から国に提供され、基金となっている国が多い。


ドイツの場合、その積み立てた資金で最終処分地を選定する調査も行うことになっている。そこで問題になったのは、すでにゴアレーベンなどで最終処分地の適正調査が行われ、積み立てた資金が使われてきたことだ。


それで、最終処分地選定をやり直す場合、そのやり直しための資金を誰が負担するのか。それが大きな問題となった。


電力業界は、政府の方針で選定をやり直すのだから、電力業界は新たに負担する必要はないとした。政府は政府で、政府予算でそれを負担するだけの余裕はない。同時にその場合納税者負担になるので、納税者にどう説明するかの問題があった。


その結果、最終処分地選定部会(AkEnd)が勧告した住民参加で最終処分地を選定するとする提案は、長い間頓挫することになる。この提案は、世界でも先駆的な試みだった。


でもそれは、ドイツでは長い間実現しない。むしろ、隣国のスイスなどがその試みを取り入れ、住民参加の形で最終処分地の選定をはじめる。


前回、交付金目当てに北海道寿都町が最終処分候補地文献調査に応募する問題を取り上げた。この交付金は電源立地地域対策交付金で、財源は電源開発促進税だ。


この税金を納税するのは、一般送配電事業者だ。だがその分が電気料金に上乗せされるため、実際に負担するのは電気の最終消費者である国民だ。


なぜぼくは、最終処分地の選定において住民参加にこだわるのか。


選定調査のための財源を見ればわかると思う。財源は、電力料金に転嫁されている。資金は、電気の最終消費者である国民が負担しているからだ。


これが、ぼくが最終処分地の選定は、住民参加によって行うべきだと思う一つの理由だ。ぼくたちがその調査の費用を負担するなら、ぼくたち自身が選定に参加する道を求めなければならない。


国だけに、任せておくわけにはいかない。


(2020年8月25日)
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ワールド放射性廃棄物レポートのダウンロード:
The World Nuclear Waste Report 2019 (英語版)
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