2020年12月22日掲載 − 脱原発
最終諮問案公開前に市民と対話

高レベル放射性廃棄物の最終処分地を住民参加の形で選定する手法を諮問するため、連邦議会において超党派で設置された最終処分委員会は、2014年5月から審議を開始した。最終的に、2年後の2016年6月末に最終諮問案を公開。委員会は、その任務を終了した。


最終諮問案は、約700ページに上る分厚いもの。それが、最終処分選定法を最終的に改正する基盤となる。


最終諮問案が公開される前の2016年4月末、最終諮問案のドラフトを提示して市民と対話する催し物が2日間に渡って行われた。


ぼくは、ここでなるほどと思ったことがある。


それは、最終処分委員会内で委員の意見がまとまらない項目に関して、異なる意見が併記されていたことだ。そうして委員会は、市民から意見を聞いた。


いろいろ議論が分かれたが、すでに確定している項目についても、どういう意見があってどう確定したかの経緯も説明された。もちろんそれについても、市民がどう思うか意見交換された。


市民の中からは、委員会において意見が分かれた場合、その内容をすべて最終諮問案に提示すべきではないかとの意見も出た。ぼくもそうすべきだと思った。


ただ、最終諮問案が最終処分選定法を改正する基盤になることを前提にしているので、最終処分委員会は各項目毎に確定した諮問案を提示しなければならない。


諮問案に何か確定していないことがあると、それは政府に判断を委ねることになる。それを避けるのが、超党派で構成される最終処分委員会の任務なのだとわかった。


あっそうかと、ぼくがそう気づいたのは、最終処分地選定法が改正されてからだった。


最後の市民対話においては、最終処分委員会の委員がほとんど参加していた。それぞれの分野に関し、まず全体会議で各分野の担当責任者が審議の上決定された内容を説明する。


さらに、ブレイクアウトタイムも設けられていた。そこではそれぞれの分野毎に設置されたパネルを前にして、各分野の担当委員から説明を受けたり、意見交換することもできた。


最終の市民対話は、最終諮問案の内容について市民に説明することと、まだ確定していない項目について、市民の意見を聞くことを目的にしていたことがわかる。


ただここにおいても、市民の意見が最終的にどう最終諮問案に反映されたのかは、正直いうとはっきりしない。


その意味では、最終諮問案を公開する前に、一応市民に提示して説明したという事実をつくるための市民対話であったとも感じる。ここでいう市民とは、最終処分候補地がまったく白紙の状態でも最終処分問題に関心のあるごく一部の市民ということだ。


(2020年12月22日)
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関連サイト:
最終処分を監督する行政機関として新しく設置された放射性廃棄物処分安全庁(BASE)のサイト(ドイツ語)
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