2020年10月27日掲載 − 脱原発
最終処分候補地中間報告を説明する

ドイツ最終処分機構(BGE)が高レベル放射性廃棄物の最終処分地の候補となる可能性のある候補地域を中間発表したのは、すでに報告した(ドイツ、最終処分地候補を中間発表)。今後、中間報告を公衆に説明するための専門会議が3回開催される。


その専門会議を前に、専門会議に向けた準備に市民が参加できるようにする枠組みを市民参加で決定するため、準備会議が(2020年)10月17日と18日の両日開催された。会議はコロナの影響で、すべてオンラン参加となった。


中間報告は、最終処分地選定法に基づいて策定された住民参加による最終処分地の選定プロセスの第一段階の一貫として行われた。市民と自治体にとっては、その説明会である専門会議が最終最終処分候補地選定プロセスに参加できる最初の機会となる。


中間報告書は、400ページ以上に及ぶ厚いもの。内容はかなり専門的で、地質学について多少の知識があっても、一般市民にはとても理解しがたい。以下の地図からもわかるように、中間報告ではドイツ全体の約54%が候補地域になっており、まだまだ選定の初期段階にすぎない。


当事者ではない第三者のぼくからすれば、この初期段階からよくそこまでして住民参加を徹底するなと思わざるを得ない。ぼくは、住民参加による最終処分候補地の選定方法について審議するプロセスは最初の段階から取材してきた。だが実際にプロセスがはじまってみると、思っていた以上の徹底ぶりに驚かされる。


本サイトでは今、最終処分のことについて連載している。本来だと、まずドイツの選定プロセスについてどういう手順で行われるのかも順次説明していかなければならない。ただそのプロセスがすでに進行していることから、連載を中断して、その都度ドイツで進行するプロセスについても報告しておきたい。


準備会議の初日は、休憩を入れて9時間に渡って中間報告で発表された最終処分候補地域の選定方法について説明された。地質学的な説明ばかりでなく、候補地として排除する手順などが一つ一つ説明された。


素人にはかなり難しい。それにも関わらず、できるだけわかりやすく説明するのが住民参加を実現する上でとても大切なのだと実感する。


初日は一番多い時で、事前登録して参加したウェビナー参加者が600人、ユーチューブで視聴していた人が150人いた。ウェビナー参加者は、チャットで質問したり、コメントすることができる。またオンラインビデオや電話で質問したり、コメントを述べることもできた。


初日に出された質問は約600件、コメントが約270件だった。これらは、すべてネット上で公開されるほか、会議中に回答されていないものについても、すべて後で回答され、ネット上で公開される。


2日目は、専門会議を行うための規定や枠組みを決めた。決めなければならない問題に対して、まず参加者からアイディアや意見を出してもらい、それに対して参加者が投票して決めていった。


その過程で、国で設置した専門会議の事務局以外に、市民だけで構成する準備部会を設置することが決定された。準備部会の委員は参加者が立候補して、参加者の投票で決定された。


準備部会は、一般市民、学者、市民団体(ジャーナリストも含む)、自治体の代表それぞれ3人で構成される。それぞれ分野毎に個別に立候補者が自己紹介文を提示して、参加者が投票する。


ここで顕著になったのは、反原発団体やBUNDなどドイツの主要環境団体からの立候補者が選ばれなかったことだ。選出された委員をみると、批判するだけではなく、どうすればいいのか建設的な意見を持って仲介的な役割を演じることのできる人たちが選出されたと思う。


最終処分は、国内処分を前提とする。それだけに、逃げることのできない課題だ。異なる意見を考慮しながらも、まとめることのできる人材が求められたのだと思う。


(2020年10月27日)
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関連資料:
ドイツ最終処分場選定中間報告書ダウンロード(ドイツ語)
ドイツ最終処分場選定中間報告書短縮版ダウンロード(ドイツ語)
ドイツ最終処分場選定中間報告書短縮版ダウンロード(英語)
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