2020年10月06日掲載 − 脱原発
地層にはそれぞれ特性がある

前回、ドイツ最終処分機構(BGE)が高レベル放射性廃棄物の最終処分地の候補地域を中間発表したと報告した(ドイツ、最終処分地候補を中間発表)。候補地域は、地層が粘土層ないし岩塩層、花崗岩層からなる地域。この3つの層から最終処分候補地を絞るのは、すでに事前に確定していた。


これは、地質学的に長い間検討した結果、ドイツにおいてはこれら3つの層が最終処分により適していると判断されたからだ。ただドイツがそう判断したからといって、それがどの国にも適用できるかというと、そうではないと思う。


地質の特性は、それぞれ最終処分する国で調査して、その適性が検討されなければならない。というのは、地層の種類が同じでも、その条件はその場その場で異なるからだ。さらに放射性廃棄物を処分する地層ばかりでなく、自然バリアとなるその上にある地層の特性も検討されなければならない(最終処分では自然が大事)。


ドイツが選んだ3つの地層においても、それぞれ長短所があるのも忘れてはならない。


ぼくがこれまでドイツで最終処分問題について取材してきたことから得たそれぞれの地層のいいところと悪いところを、以下に簡単にまとめておきたい。


粘土層:

熱伝導率が低いことが欠点だ。そのため、地層から熱が逃げない。ぼくが低中レベル放射性廃棄物の最終処分場に予定されているコンラード最終処分予定場に入った時、粘土層は熱伝導率が低いので、熱を発する高レベル放射性廃棄物には適さないといわれた。

コンラード最終処分予定場は、元鉄鉱石鉱山を利用したもの。その上に粘土層がある。ぼくが地下1000メートルに入った時、気温は40度を超えていた。

高レベル放射性廃棄物を粘土層で最終処分するには、かなり冷やしてから地層で処分しなければならなくなる。その分、中間貯蔵期間がかなり長くなるという問題が発生する。

最終処分との関わりで起こる中間貯蔵の問題については、ここでは簡単に述べるに止める。後で別途取り上げる予定だ。


岩塩層:

粘土層と違って、熱伝導率が高い。だから、地層に熱でこもらない。その点、熱を発する高レベル放射性廃棄物の処分に適しているといえる。

ただ岩塩層は、海水からできた地層。その点、どこかにまだ水が蓄積されている可能性がある。それを事前にはっきり確認しなければならない。

水のあるエリアは、最終処分には適さない。水によって高レベル放射性廃棄物の容器が腐食する。さらに放射性物質を含んだ水が地層でどこに流れていくのるかも判断しにくい。それでは、汚染が拡散されるだけとなる。

すでにゴアレーベン調査施設でわかったように、岩塩層に脂肪層が入っているところもある。そういうエリアも最終処分には適さない。地層は長い期間に動くので、最終処分した地層が均一に動くように、最終処分するエリアの地層も均一の特性を持っていなければならない。


花崗岩層:

ドイツではこれまで、花崗岩層は最終処分に適していないのではないかと見られてきた。それは、花崗岩が硬いので、花崗岩層に放射性廃棄物を処分するには莫大なコストと時間がかかると見られていたからだ。

ただこれは、地質学的な評価ではなかった。その意味で、地質学的に見て花崗岩層もその候補として取り上げられるようになったと見るべきだ。

日本の花崗岩層では、地下水の出るところが多い。ドイツでは岩山に滝が少ないなど、岩山でも水が出ない。その点、日本とはちょっと違うようにも感じる。でも地下水の出るところが最終処分に適さないのはいうまでもない。


こうして見ると、地層にもそれぞれ最終処分に適する特質とそうでない特質があることがわかると思う。でもその中から、最終処分に適さないエリアを排除して、最も最終処分に適したエリアを選定しなければならない。


(2020年10月06日)
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関連資料:
ドイツ最終処分場選定中間報告書ダウンロード(ドイツ語)
ドイツ最終処分場選定中間報告書短縮版ダウンロード(ドイツ語)
ドイツ最終処分場選定中間報告書短縮版ダウンロード(英語)
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