2020年6月16日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
最終処分では自然が大事

前回、現在の技術レベルでは、最終処分に必要となる長期の耐久性を保証することはできないと書いた。人間の力だけでは、放射性廃棄物を安全に最終処分することができない。それは、放射性廃棄物を最終処分する期間が10万年や100万年と、長期に渡るからだ。


人類は、その能力では解決できない問題を抱え込んだことになる。それでは、どうすればいいのだろうか。


地球が誕生したのは、46億年前だといわれる。その時はまだ地殻も固まらず、生物もいなかった。そのうちに陸と海ができ、生物も登場するようになる。


人間の能力で解決できないものは、この長期に存在する地球にあるものに頼るしかない。それ以外に方法はない。


要は、自然ということだ。


人間の開発した技術で放射線を遮蔽、密封するものを、人工バリアという。たとえば、鋼鉄の容器や、コンクリートなどがそれだ。放射性廃棄物の入った容器をさらにコンクリートの中に埋めてしまう。それで、人工バリアをつくる。


でも、容器やコンクリートには何らかの力が加わると(たとえば、地震など)、亀裂が生じる。それでは、バリアの役割を果たさない。容器やコンクリートが、いずれ風化してしまうこともすでに書いた。


それをさらに、自然にあるものを利用して補助する。自然によって、放射線が放出されたり、放射性物質が漏れ出ないようにするのだ。それを自然バリアという。


人工バリアと自然バリアで二重に遮蔽することで、最終処分の安全を保証する。ぼくたちには現在、この方法でしか最終処分を安全に実現することはできなと見られる。


(2020年6月16日)
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ワールド放射性廃棄物レポートのダウンロード:
The World Nuclear Waste Report 2019 (英語版)
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