2020年9月08日掲載 − 脱原発
岩塩層に固執したドイツ

ドイツではすでに書いたように、1960年代から岩塩層が最終処分に適するかどうかの調査がはじまっている。本格的に岩塩層の適正調査がはじまったのは1970年代末。ゴアレーベンで、ボーリング調査などがはじまった。1980年代後半、ゴアレーベンに地下調査施設ができる。


ドイツでは、岩塩層が東西ドイツの元国境沿いに広がっている。国境ということもあり、東西ドイツは競って岩塩層で最終処分する方向で動いていた。


ただ東西ドイツの統一によって、最終処分予定地がドイツのど真ん中に位置することになる。歴史の皮肉としかいいようがない。


岩塩層ができたのは、もともと海だったところだ。数億年前、ゆっくりしたテンポで岩塩層が形成されはじめる。岩塩層は地層内に空洞がなく、気体や液体を透過させないといわれる。岩塩層は熱伝導率が高く、熱を外に逃がす。これらの特性が、熱を発する高レベル放射性廃棄物を最終処分するのに適するとされる理由だ。


放射性廃棄物を中間貯蔵する期間を短かくすることもできる。


ぼくはそのゴアレーベンの地下調査施設に、4回か5回入ったことがある。ゴアレーベンでは、地下1000メートルに入っても熱く感じない。低中レベル放射性廃棄物の最終処分場に予定されているコンラートの地下坑道では、40度以上もあったのとは大違いだった。


コンラートでは、地下坑道の上に粘土層がある。粘土層は熱伝導率が低いので、熱を逃がさない。そのため、コンラードでは地下が暑いのだ。


ただ岩塩層が、地層形成前に海であったことを考えると、岩塩層のどこかに水が潜んでいてもおかしくない。


ゴアレーベン南部に位置するアッセでは、1960年代後半から岩塩層の適正試験が行われていた。アッセでは、2008年に放射性廃棄物の保管エリアで水漏れが発覚。アッセの地下坑道に入った時は、流れ出る水を坑道に設置した水槽に貯蔵していた。


岩塩層の適正が疑問視されるようになる。


ゴアレーベンの地下調査坑道に入った時も、坑道の壁伝いに水がチョロチョロ流れているのを見たことがある。でもアッセでの問題が発覚してからは、ゴアレーベンでは水漏れのあるエリアは見せてもらえなくなった。


最終処分に使う地下層に、水があってはならない。水は、放射性廃棄物の入った容器を腐食させる。水は、地下層をどう流れているのかも把握できない。水が放射能で汚染されると、汚染が拡散されるだけだ。


だから放射性廃棄物を最終処分するところは、水のない、乾燥したところでなければならない。


ゴアレーベンの地下坑道では、地層の一部が茶色く変化しているところがある。そこは、油脂層になっているのだといわれた。地層が移動することを考えると、最終処分に使う地層は一様に動くように均一でなければならない。


そのため油脂層のあるエリアは、最終処分には使えないという。最終処分には、岩塩層が広く均一に横たわっているところが必要だ。


でも岩塩層では、こうした油脂層があるのは避けることができないという。それなら、均一に広がった大きな岩塩層を探すのは、難しい。岩塩層は、最終処分には適さないはずだ。


それが明らかではないのか。ぼくには、そう思われた。でもドイツは、長い間に渡って岩塩層に固執する。


それがドイツで、最終処分地の選定に時間のかかっている背景だ。時間と資金を浪費しただけだといってもいい。


日本はドイツのこうした失敗を、反面教師にして学んでほしい。


(2020年9月08日)
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ワールド放射性廃棄物レポートのダウンロード:
The World Nuclear Waste Report 2019 (英語版)
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