2020年9月29日掲載 − 脱原発
ドイツ、最終処分地候補を中間発表

ドイツ最終処分機構(BGE)は(2020年)9月28日、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の候補となる可能性のある地域を発表した。


候補地域は、地層が粘土層ないし岩塩層、花崗岩層の地域。ドイツ全土の約54%に相当する。過去のボーリング調査や過去の地層に関する資料、あるいはコンピュータによる3Dシミュレーションなどによって、地層の特性だけが地質学的に審査された。


そのため、ベルリンやドイツ南部のシュツットガルトなどドイツの大都市の一部も候補地域に含まれている。


今回の発表は、最終処分地選定法に基づいて策定された住民参加による最終処分地の選定プロセスの第一段階に相当する。最終処分候補地の中間報告と定義され、今後公衆向けに報告書説明会が来年2021年2月、4月、7月の3回行われる。


報告書説明会を実施するに向け、市民がその準備に参加できるようにする枠組みを決める準備会議が、(2020年)10月17日/18日にドイツ中部のカッセルで行われる予定(実際には、コロナの影響でオンラインだけの参加となる)。それと平行して、ボーリングなど地上から地層調査を行う候補地域の選定作業も続けられる(第一段階)。


地上調査を行った後、地下調査を行う地域が提案される(第二段階)。地下調査(3カ所)を行った後に、調査地域を比較し、最終処分候補地が提案される(第三段階)。


その提案に基づき、20131年に最終処分候補地が国会決議される予定だ。


BGEは国の委託を受けて、最終処分地の候補地域の調査と選定、最終処分場の建設、運用を行う機関。国は放射線防護庁を分割して、BGEの監督機関として放射性廃棄物処分安全庁(BASE)を設置した。BASEは、最終処分場の選定プロセスにおける住民参加も推進する。


今回の最終処分候補地域中間発表で注目されるのは、これまで最終処分地として調査坑まで設置して、住民の反対を押し切って長年調査を続けてきたゴアレーベンが、候補地域から抜けたことだ。


ゴアレーベンの地層上部が不安定なことが、除外された理由とされている。ゴアレーベンは40年以上続くドイツの反原発運動の象徴。今回の発表は、ドイツの反対運動に一つの区切りがきたことを意味する。


ゴアレーベンで反対運動を続けてきた市民グループの代表マルティン・ドナートさんは、「(除外されたことを)祝っているわけにはいかない。過去の過ちから学んで、(最終処分地選定プロセスを)フェアで、透明性のある、信頼できるものにしなければ、同じ過ちを繰り返すだけだ」と警告する。


最終処分地の選定では、住民の合意を得ることが重要だ。だがそれが、最大の難題でもある。住民参加で最終処分地を選定するにしても、国と住民の間に信頼関係が構築されない限り、選定作業は難航するだけだ。


中間報告書は、400ページ以上に及ぶ厚いもの。短縮版があるほか、障害者向けに簡素化版が今後発行される予定。ただかなり専門的な内容で、素人にはほとんどといっていいほど理解できない。


中間報告書を一般市民にわかりやすくするにはどうすべきかについても、市民の参加するワークショップで議論された。しかし内容が内容だけに、かなり解決不可能な課題であることが明らかになるだけだった。


さらに、中間報告書の基盤になった文献の中には、独自調査していないものが多く、版権上の問題から中間報告書にそれを掲載できないものもある。そのため、候補地域となった科学的な背景は、報告書からだけですべて判断できるわけではない。


ドイツの最大環境団体BUND(ドイツのFoE)などは、内容が難しいだけに内容を専門家と事前に検討できるように報告書を事前に閲覧させてほしいと依頼した。だが、その要請は拒否されたという。市民団体にはそうした点でも、不満がくすぶっている。


住民参加で最終処分地の選定を行うのはラーニング・バイ・ドゥーイングで、誰にとってもはじめての試みだ。それが今後、どう進んでいくのか。これからも順次取材を続けていくるもりだ。


(2020年9月29日)
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関連資料:
ドイツ最終処分場選定中間報告書ダウンロード(ドイツ語)
ドイツ最終処分場選定中間報告書短縮版ダウンロード(ドイツ語)
ドイツ最終処分場選定中間報告書短縮版ダウンロード(英語)
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