放射性廃棄物を中間貯蔵する期間は、最終処分地の選定状況や最終処分地の条件に応じて変わる。そのことは、すでに本サイトでも何回か書いてきた。
また現状では、中間貯蔵期間がかなり長期間になることも十分考えられる。たくさんの市民にとっては、生きている間に最終処分がまだはじまっていない可能性も高い。
原子力発電を行っている国の多くでは現在、最終処分は国の管轄下で行われる。でも中間貯蔵は、電力側、つまり民間の管轄下となっている。それは、ドイツでもつい最近までそうだった。
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ドイツ北東部にある廃炉中のグライフスヴァルト原発内の中間貯蔵施設内部。写真は、原子炉圧力容器。 |
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脱原発を決めたドイツは、廃炉と最終処分のために積み立てられたバックエンド資金を電力側と国側で分割することを決めた。同時に、これまで電力側が管轄していた中間貯蔵を国の管轄に移管した。
それは、中間貯蔵の期間が最終処分と連結するほか、中間貯蔵が長期に渡ることがはっきりしてきたからだ。中間貯蔵と最終処分を一括して国の管轄にしたほうが、より安全で、管理もしやすい。
そのため、民間で管理されている中間貯蔵施設も国に譲渡させた。廃炉は民間で、放射性廃棄物の処分は国が管轄すると明確に区分したといってもいい。
ただ、ここでいう中間貯蔵とは何かをはっきり定義しておく必要がある。
使用済み核燃料は、燃料交換で圧力容器から撤去されると、まずその近くに設置された貯蔵プールに入れられる。そこでまず冷却するためだ。その貯蔵期間は、貯蔵プールの保管容量にもよるが、だいたい3年から5年。
ドイツの場合は、使用済み核燃料を再処理するのを止めたので、使用済み核燃料はその後、中間貯蔵施設に搬入される。それ以降を中間貯蔵とする。
それに対して再処理に固執する日本では、ドイツでいう中間貯蔵はないといってもいい。使用済み核燃料をできるだけ長く貯蔵プールで保管し、その後に再処理施設に搬入する。
ただ日本の再処理施設がまだ稼働していないので、貯蔵プールがもうかなり一杯の状態。地震国日本では、地震によって貯蔵プールに亀裂が入ると、使用済み核燃料を冷却できなくなる危険もある。それは、福島第一原発事故の時に経験済みだ。
日本の使用済み核燃料の管理は、より危険だといってもいい。
使用済み核燃料を再処理する限り、使用済み核燃料は電力側に所有権がある。国が中間貯蔵も管理できるようになるには、使用済み核燃料が廃棄物として、電力側がその所有権を放棄し、その処分を国に委託する形にならなければならない。
その意味で、脱原発を決めたドイツでいう中間貯蔵は、再処理に固執する日本にはまだ存在しないといってもいい。
(2020年11月06日) |