2020年12月19日掲載 − 再生可能エネルギー
ドイツはFIT制度を終えるのか

ドイツの電力固定価格買取制度(FIT)の基盤となる再生可能エネルギー法が改正されることは、すでにこのサイトでも報告した(「ドイツ、再生可能エネルギー法を改正へ」)。その改正案は(2020年)12月17日と翌18日、それぞれ連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)を通過。改正法は、来年(2021年)1月1日施行する。


改正法の問題についてはすでに、前述の記事でも書いた。改正法は、電力消費における再エネの割合を2030年までに65%に引き上げると規定する。


しかしそれにしては、改正法は十分な措置を規定していない。ドイツの環境シンクタンク「アゴラ・エネルギー転換」のグライヘェン所長は今後、太陽光発電の発電容量を年間10GW、陸上風力発電では5GW、洋上風力発電で2GW増やしていかなければ、その目標は達成できないとする。


グライヘェン所長のいう年間増設量は、太陽光発電では法律が規定する量の2倍、陸上風力発電でその3倍の値に相当する。日本では市民電力会社として知られ、再エネ電力に特化して販売するEWSシェーナウ社も、法改正はまったく不十分とのプレスリリースを出した。


ドイツでは現在、風力発電施設を設置することに対して地元住民の風当たりが強い。風力発電に対して地元住民のアクセプタンスを得るため、改正法は風車が設置される地元自治体に給付金を支払うことを規定する。しかしそれは、義務ではなく、任意に格下げされた。


太陽光発電では、FIT制度を利用する場合の入札規制が緩和されるよりも、入札対象が拡大されるなど、規制がむしろ強化された。


再エネ法が施行して20年になる。今後、FIT制度を利用できる20年を終え、FIT外となる発電施設が増加する。改正再エネ法はそのため、その後もできるだけ長く発電することを促進するインセンティブ措置も規定した。


たとえば個人住宅に設置されたソーラーパネルでは、今回の改正で7kwp以上のソーラーパネルに高価なスマートメータの設置を義務付けた。だが20年を超えるFIT外発電施設では、それを免除する。


今回の改正で一番気になるのは、「再エネ発電施設の設置は、公共の利益と公共の安定供給に資する」とするこれまでの記述が削除されたことだ。その根拠として、石炭火力発電を止めて脱炭素を実現する2038年までに、FIT制度による支援を終えることが示唆されている。


ということは、再エネ法によるFIT制度自体がすでに終焉する準備に入っているということなのか。


FIT制度は人為的に電力価格を引き上げるものなので、その効果は簡単に人為的に操作できる。その意味で、どう公平性を維持するのか、そのさじ加減がとても難しい。そのために、再エネ法が何回も改正されてきたともいえる。


FIT制度自体、再エネを拡大させるまでの過渡的なものでもある。その意味でドイツ政府は、FIT制度がそろそろ不要になってきていると見ているのは間違いない。


しかし、2050年までのカーボンニュートラルを目標とするドイツにとり、再エネをより拡大しないことにはその目標を達成できないのも事実だ。


今後、再エネの拡大をどう支援していくつもりなのか、今回の法改正ではまったく先が見えない。むしろ将来に向け、やる気のない法改正といってもいいくらいだ。


ドイツでは来年2021年秋に、連邦議会選挙(総選挙)があるからなのか。それはわからない。でも、再エネの促進を次の政権に任せてしまったのは確かではないか。


となると、次期政権に緑の党が参加するかどうかも、今後の焦点となる。


(2020年12月19日)
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関連記事:
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EU、気候ニュートラル化に進む
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関連リンク:
ドイツ経済エネルギー省プレスリリース(ドイツ語)
EWSシェーナウ社プレスリリース(ドイツ語)
法案ダウンロード(ドイツ語)
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