2021年1月05日掲載 − 脱原発
最終処分候補地に拒否権はあるか

高レベル放射性廃棄物の最終処分地を住民参加の形で選定する手法を諮問する最終処分委員会が、2016年6月末に最終諮問案を公開したのは、すでに書いた。


そこでたいへん重要なポイントになったのは、最終処分候補地に選定された場合、その自治体に対してそれを拒否する権利を認めるかどうかだった。


この問題でも、最終処分委員会はなかなかまとまらなかった。ただ拒否権を認めない方向で検討されているのは、結構早い段階からわかっていた。


最終処分委員会による市民との対話においても、この問題が重要なテーマとなった。参加したした市民の中でも、意見は割れた。でも市民の中では、拒否権を与えるべきだとの意見のほうが多かったと記憶する。


最終諮問案においても、最終処分候補地に選定された自治体には最終的に拒否権は認められなかった。それに基づいて、最終処分地選定法の詳細も改正された。


なぜ、最終処分候補地に選定された自治体に拒否権が認められなかったのだろうか。


正確にいうと、実態はこうだった。


最終処分地選定法でもその最初の制定版では、最終処分を監督する行政機関として新しく設置された放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が決定した最終処分候補地となる自治体には, その拒否権が認められていなかった。それを最終処分委員会で再検討し、それを踏襲するとともに、自治体に提訴する方法を設けるなどして決定に対して異議を申し立てる手続きがより具体化された。


最終処分候補地に選定された自治体に対して、最終処分委員会も拒否権を認めなかったのには、2つの根本的な理由があったと思う。


一つは、最終処分候補地には科学的に検討して最も適する候補地を選定するので、安全性を考えると、科学的な見地を優先する必要があるからだ。


もう一つは、最終処分候補地の選定は社会的コンセンサスを求め、住民のアクセプタンスを得るために行うものだからだ。そのためにも、住民参加による選定方法を選んだ。それを主な目的として最終処分候補地が選定されるのだから、住民のアクセプタンスを得ないまま、候補地が選定されることはない。だから、自治体の拒否権は必要ないとの考えがあったのだと思う。


問題は、最終処分候補地が最終確定するまで、住民のアクセプタンスをどう得るかだ。そのためには、フェアで透明な選定手続きを行う必要がある。


そのプロセスを確実に、フェアで透明なものにするため、行政と社会(住民)を橋渡しする目的で国家随行委員会(NBG)という組織が設けられた。要は、最終処分候補地を決定する国と住民の仲介役ということだ。


NBGの委員の多くは、一般市民で構成される。最終処分委員会が提案した新しい組織だ。住民参加による最終処分地の選定プロセスにおいて、とても重要な役割を果たす組織だといってもいい。


この国家随行委員会(NBG)については、次回詳しく説明したいと思う。


(2021年1月05日)
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関連サイト:
最終処分委員会最終諮問案ダウンロード(ドイツ語)
最終処分を監督する行政機関として新しく設置された放射性廃棄物処分安全庁(BASE)のサイト(ドイツ語)
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