2021年7月27日掲載 − 脱原発
原発の寿命と安全性、それに関わる制度

日本の経済産業省/資源エネルギー庁の第6次エネルギー基本計画の素案によると、2030年までの原発の比率は20-22%にするという。そのためには今後、老朽原発を再稼動しなければならない。


日本では、原発の運転期間は40年とされるが、申請して審査に合格すれば、運転期間を60年まで延長することができる。すでに原子炉4基が、運転期間延長の認可を受けた。これは世界標準だといわれると、ちょっと疑問だ。安全性さえ担保されれば、具体的に原発の運転を60年まで認めるとしているのは、まだ米国と日本しかないと思う。政治判断にすぎない。


世界の原発(原子炉毎)の平均寿命は、30年以下となっている。そういうと、60年なんてとんでもないと思う人も多いと思う。ただこの平均寿命には、技術開発に失敗して短期で停止された高温炉の運転期間なども含まれている。それが平均寿命を引き下げた。


原発(原子炉)の耐用年数が法的に規定されている国はないと思う。一部の国を除くと、原発(原子炉)の運転認可期間は安全性検査に合格する限り、制限されない。原子炉の耐用年数はむしろ、技術的な面ばかりでなく、経済的、社会的な要素にも大きく左右される。


これは、原発ばかりでない。この考え方は、すべての産業機械に適用される。産業で使われるものは、安全性さえ問題なければ、半永久的に使えるといってもいい。


ドイツは、原子炉の平均運転期間を32.5年として脱原発を決めた。これは技術的というよりは、政治的、経済的、社会的要素から決定されたとすべきだと思う。


ただ原発(原子炉)には、設計寿命というのがある。設計寿命とは、設計段階でこれくらいの運転期間を可能にすると想定して設計された寿命のことをいう。それをベースにして、配管や機器(特に圧力容器)の肉厚(金属の厚さ)などが決まる。


ロシア(旧ソ連)製の原発では、設計寿命は30年だ。西側の原発(原子炉)の寿命は概ね、40年がベースになっていると思う。ただ設計寿命がきたからといって、原子炉を停止しなければならないわけではない。各機器の状況によっては、まだまだ運転を続けることができる。逆に金属疲労度が激しいと、設計寿命に達する前に停止しなければならない。


原子炉は原則、燃料を交換する時に停止し、その時に定期検査が行われる。同時に、メンテナンスや修理も行われる。定期検査は年1回行われる。それに加えて10年毎に、定期安全レビューという安全性評価も行われる。これは簡単にいうと、それまでの運転経験や技術知見から安全に関して蓄積された経験知の反映状況を評価するものだ。


日本の場合、運転開始後30年になる前に、定期安全レビューの枠内で、原子炉の高経年化に向け、安全上の観点から機器や構造物の状態が技術的にも評価される。


日本ではさらに、原子力発電に関わる発電設備に亀裂などが生じた場合、その設備をまだ使用できるかどうかを評価する健全性評価が行われる。また原発の安全性を向上させるため、発電事業者自らが原子炉の安全性を定期的に評価して届け出なければならない。いずれも、原発の高経年化とそれに伴う劣化に対応するための措置だ。


今回は、原発の寿命と安全性に関わる問題と制度について書いてきたが、原発の寿命といっても、そう簡単に定義、規定できるものではないことがわかると思う。それは、各原子炉の機器、設備の技術的な状態が原子炉毎に異なるからだ。それをはっきり見極めなければならない。


それを前提として、原発の安全性を評価する制度が必要になる。それでは、現在の制度に問題はないのだろうか。それについては、次回から述べることにする。


(2021年7月27日)
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関連サイト:
第6次エネルギー基本計画(素案)の概要(経済産業省/資源エネルギー庁)
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