2021年8月31日掲載 − 脱原発
ドイツから何も学んでいない日本のエネルギー基本計画

日本の第6次エネルギー基本計画(素案)について、これまで原子力発電に絞って問題を提起してきた。第6次素案では、既存原発の再稼働をベースにして原発の割合をさらに高めることが計画されている。ただそれだけでは不足するので、現在注目され出したミニ原発によって原発の割合を拡大することも念頭にあると思われる。


ミニ原発についても、本サイトで何回にも渡って問題提起した。結局ミニ原発も、脱炭素社会に向けたエネルギー供給の救世主にはならないことがわかったと思う。


原発だけに絞って見ても、第6次素案は原発の現実問題に目を逸らしているといわなければならない。その上さらに、2030年度の電源構成目標として、再生エネの比率を36-38%とし、原発の比率を20-22%にするとしている。


ここでは、原発をベースロード電源としてこれまで通りの電力システムに依存して、電力供給することが意図されている。しかし再生可能エネルギーで発電された電力が増えると、ベースロード電力を基盤にした電力供給がうまく機能しなくなるのは、このサイトで何回も指摘した。


再エネによる発電電力量に大きな変動がある上、その変動のテンポが早いからだ。それは、上図の事例からもわかると思う。その結果、送電網が不安定になり、安定供給が保証できなくなる危険も生まれる。


ぼくは、それを再エネを拡大するドイツの経験から学んだ。ドイツの経験からすれば、原発と再エネを並行して利用することはできない。それは、再エネの割合が増えれば増えるほど明らかとなる。ドイツではその結果、原子力発電と火力発電を続ける大手電力会社が発電でビジネスを展開できない状況となり、電力業界がリストラされていった。


第6次素案はドイツの経験を見ないで、日本の大手電力に都合のいいようにエネルギー供給計画を立案しているようにしか思えない。


でも現実には、再エネが拡大すると、原発のように常に一定の発電電力量を供給する発電方法では対応できない。再エネによる発電状況に応じて、柔軟に発電電力量を調整できる発電方法(調整力)が必要になる。


地震国である日本の建物の構造を見ると、わかると思う。建物に耐震性を持たせるためには、建物をより強固するのではなく、地震の揺れに応じて建物も揺れて、地震の揺れを吸収できるようにする。それと同じことが、発電においてもいえる。


発電電力量に変動の大きい再エネに対応するには、発電電力量を柔軟に調整することが求められる。でもそれは、原子力発電ばかりでなく、石炭型火力発電にもできない。日本の第6次エネルギー基本計画(素案)は、それを無視している。


それでエネルギーを安定供給しようとする日本政府は、将来に対して無責任もいいところだ。


(2021年8月31日)
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関連サイト:
第6次エネルギー基本計画(素案)の概要(経済産業省/資源エネルギー庁)
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