2021年5月04日掲載 − 脱原発
原子炉はなぜ大型化したのか - 小型原子炉は救世主か(1)

脱炭素化社会に向け、小型原子炉が注目されている。小型原発は脱炭素化の救世主になって、原発は復活するのだろうか。


ぼくは、そうは思わない。小型原子炉は邪道だと思っている。それはなぜか。これから何回かに渡って、小型原子炉の問題について検証したいと思う。


国際原子力機関IAEAの定義によると、小型原子炉とは出力30万キロワット以下の原子炉のことをいう。最新商業炉の出力は、100万キロワットを超えるものが主流だ。150万キロワットの原子炉もある。


ところが現在開発されている小型原子炉は、IAEAの定義する小型炉よりも、さらに出力が小さい。10キロワット以下のものになるという。たとえば、米国で開発が最も進んでいるといわれるニュースケールパワー社が開発する小型原子炉の出力は、7.7万キロワットだ。出力からいうと、研究炉並みだ。


そこでまず、原発の出力がこれまでどうして拡大してきたのかを見ておきたい。


ドイツでは、1960年代はじめに原子炉の建設がはじまる。初期の頃はまだ、実証炉など試験的な目的で建設されたものも多かった。小型だったのは当然でもある。ところが原子炉の建設初期段階では、旧西ドイツ全体において400基以上もの原子炉を建設することが計画されていた。


ほとんど全土に満遍なく原子炉が設置される予定だったといってもいい。


しかし実際に建設された原子炉は、その10分の1にもならなかった。当初の目論見は、夢だったといってもいい。原子炉をたくさん建設するのではなく、原子炉の出力を増大させることで、建設する原子炉の数を減らしてきた。


それは、なぜか。


原子炉を大型化したほうが、効率のいいことがわかったからだ。原発には高度の安全が求められる。大型化したほうが、小さな原子炉毎にいくつも安全系統を設けるよりは、容量の大きい安全系統にまとめて、集中監視したほうがいい。そのほうが費用対効果からして、効率がいいことが判明した。


その点で、現在の小型原子炉のコンセプトは、原発が開始された時期の教訓とはまったく逆のことをしようとしている。


それで本当に、小型原子炉を効率よく運用できるのかどうか。まずそれが、証明されなければならない。単に補助目当てに、小型原子炉が実現されるようではならない。


(2021年5月04日)
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関連サイト:
小型原子炉を開発するニュースケールパワー社のサイト(英語)
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