2021年5月11日掲載 − 脱原発
原子炉を型式承認するのか - 小型原子炉は救世主か(2)

前回、原子炉は効率の面から巨大化してきたと説明した。そういうと、小型原子炉はモジュール化しているので、モジュール式小型原子炉を組み合わせると、簡単に現在の巨大化した原子炉と同じ出力のある原子炉とすることができると反論されると思う。


小型原子炉が正当化される上で心配されるのが、モジュール型小型原子炉が型式承認されることだ。原子炉を型式承認するとは、どういうことなのだろうか。


原子炉を設置する場合、通常、立地場所毎に検査監督機関に対して設置許可の申請が出され、検査監督機関の審査を受けて、管轄官庁から建設許可が出される。


つまり、原子炉を設置する毎に審査を受けて、許可をもらわなければならない。


それに対して型式承認とは、原子炉を設置する国毎に設置する原子炉のタイプに対して国の審査を受け、事前に一般的な建設許可を得てしまうことをいう。つまり、一回審査を受けて許可を得ると、立地場所で原子炉の設置と運用に対して個別に許可を得る必要がなくなる可能性が出てくる。


たとえば、自家用車にはこの型式承認が出されている。だから自動車は誰に対しても販売でき、消費者も自動車を買えば、買った自動車をすぐに使用できる。


原発はプラントの部類に属する。だから本来、こうした型式承認方式は取らない。でもモジュール型の小型原子炉では、原子炉を型式承認して、どこにでも簡単に設置できるようにすることが考えられると思う。大型化するには、それを組み合わせるだけなので問題ないといわれそうだ。


実は、そうした試みがすでにドイツであった。


今のメルケル首相が環境相だった1990年代終わりに、メルケル環境相はドイツの原子力法を改正した。今フィンランドで建設中の第3世代原子炉EPR(欧州加圧水型炉)に対し、ドイツで型式承認を出すことを可能にしたのだ。しかしその後の政権交代で、その試みは潰されている。


そのEPRは、ヨーロッパではフィンランドとフランスで建設中だ。だが建設から15年経った今も、まだ完成していない。


EPRの例を見てもわかるように、原子炉は型式承認では安全性を確保できない。その安全性を確保するために、フィンランドやフランスでは建設に長い時間がかかっている。


原子炉を設置するにはこれまで通り、立地場所毎に安全性を審査して設置しなければならない。立地場所によって、設置条件が異なるからだ。原子炉は設置場所に与えられた条件に応じて、設計、設置する。


ただ小型原子炉の登場で、原子炉の型式承認制という新しい方法について議論されるのではないかと心配でならない。それは、絶対に許してはならない。


(2021年5月11日)
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関連サイト:
小型原子炉を開発するニュースケールパワー社のサイト(英語)
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