すでにほのめかしてはいるが、タービンと発電機をどうするかが、小型原子炉ではよくかわらない。小型原子炉を開発する米国のニュースケールパワー社も、まだ十分に構想していないように感じる。
原発は、原子炉だけでは発電できない。核分裂によって発生した熱で蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回さないといけない。タービンの回転で発電機を回して発電する。
タービンは、とてもセンシティブなものだ。
小型原子炉が1基しかなければ、小型タービンを1基設置するしかない。でもいくつもの小型原子炉で構成される大型原子炉の場合、タービンと発電機はどうするのか。
その場合は、発電所全体でそれぞれ1基か2基のタービンと発電機が設置されると予想される。そうして、すべての小型原子炉でタービンと発電機を共用するはずだ。2基にすれば、どちらかをメンテナンスと定期検査のために停止しても、発電所としては発電を続けることができるという利点がある。
|
|
タービンと発電機が設置された機械棟には、たくさんの機械、配管が見える。リトアニアのイグナリナ原発で撮影。同原発はすでに停止され、廃炉中。 |
|
小型原子炉毎にそれぞれ小型のタービンと発電機を設置すると、とてもコスト高となる。発電効率も下がると思う。
タービンと発電機を小型原子炉で共用するとなると、モジュール炉として組み合わせる小型原子炉の数に合わせて、タービンと発電機の出力も柔軟に設計しなければならなくなる。
同時に、それに合わせて制御系統も柔軟に設計しなければならなくなる。
ぼくには、それがまたコスト高の要因になると思えてならない。モジュール炉の数に合わせて、タービンと発電機、制御系は標準化させるのだろうとも予想される。でもそれで、どの程度のコスト削減効果があるかだ。さらに、小型のタービンと発電機で効率よく運転できるかどうかも疑問だ。
さらに、タービンはセンシティブな機械なので、定期的なメンテナンスが必要だし、メンテナンスする場合も解体するなどして時間がかかる。
小型原子炉とともに、小型タービンの数も増えると、その点でもコスト高になるのは間違いない。
(2021年6月29日) |