ドイツの首都ベルリン市は2021年3月に入り、都市交通改革における将来ビジョンを描いたマスタープランを発表した。
マスタープランの根幹は、自動車の利用を控えて公共交通を拡大し、これまで自動車中心に考えられてきた都市つくりを歩行者と自転車にやさしい都市つくりに切り替えることにある。
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ベルリンでは自転車にやさしい都市つくりをするため、こうした自転車専用道路が増えている |
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そこで一つの重要なポイントになるのが、排気ガスを排出するガソリン車とディーゼル車を閉め出すゼロエミッションゾーンが設置されることだ。2030年までに、ベルリン市中心を走る都市鉄道であるSバーンの環状線内がゼロエミッションゾーンとなる。そうなると、ガソリン車とディーゼル車はゼロエミッションゾーンに乗り入れできなくなる。
排気ガスを排出しない電気自動車の利用は認められる。ドイツではすでに、宅急便の配達の一部がカーゴバイクに切り替えられる傾向がある。商用の自動車についても、電気自動車かカーゴバイクしかゼロエミッションゾーンに乗り入れできなくなる。
街の中心地区では、自動車の乗り入れそのものが禁止され、歩行者と自転車しか利用できないノーカーエリアがさらに拡充される計画だ。歩行者の横断が優先される横断歩道の数を莫大に増やすことも計画されている。
ベルリン市ではすでにトラムが再エネで発電された電気だけで運用されている。路線バスも電気バスに切り替え、2030年までにすでに電気バス化する計画だ。
さらに2035年までに、環状線域外の地区もゼロエミッションゾーンとして、ガソリン車とディーゼル車の乗り入れを禁止したいとしている。
その代わりに、トラムや都市鉄道など公共交通が整備、拡充される。
本サイトでも何回か報告してきたが、ベルリンではすでに道路の一部が自転車専用道路に切り替えられる傾向がある。今後も自転車専用道路をより一層整備、拡充するとしている。
将来の交通ビジョンの根底には、自動車のない都市つくりをしたほうが、騒音もなく、交通渋滞もなく、ストレスのない都市つくりができるとの考えがある。それと同時に、都市の移動がより安全になり、都市の生活の質が大幅に改善される。
(2021年3月20日)
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