ドイツ環境庁は、ドイツの食肉消費を半減させるべきだとの考えを示した。同庁のメスナー長官が2021年3月に発言した。環境庁は環境省の下級官庁。環境政策立案や環境調査、監視などを行っている。
産業化された酪農による家畜の大量飼育を削減するためだという。それによって畜産業において窒素フロー(流れ)を削減すれば、土と水、生物の多様性、人の健康への影響を少なくすることができる。
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イタリアの田舎料理サルティンボッカ。
仔牛のカツにパルマハム。緑野菜はマンゴルト |
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メスナー長官によると、食肉の食べる量を減らして、より質のいい食肉に切り替えれば、家畜の大量飼育を削減することになる。酪農家もダンピング価格を強要されることもなく、酪農で十分でやっていける可能性も生まれる。それが、人の健康と環境にもいい影響を及ぼすとする。
脱炭素するだけではなく、食生活スタイルも改革しない限り、気候変動を抑えることはできない。
ドイツでは2018年、農業に由来する温室効果ガスの排出量は約6400万トンだった。温室効果ガスの総排出量の7.4%に相当する。特に酪農と化学肥料からによるメタンガスの排出と、農地からの亜酸化窒素(笑気ガス)の排出が、その主な原因となっている。メタンガス排出全体の62%、亜酸化窒素排出全体の79%が、農業に由来する。
これが、地球の温暖化、気候変動を誘引する要因になっている。
ただドイツでは、食肉の消費が減る傾向にある。農業食糧省のデータによると、ドイツ人一人当たりの食肉の年間消費量は57.3キログラム。1989年に食肉の個人消費量を把握しはじめて以降、これまでで最低の値だという。
実際、ドイツではベジタリアンやビーガンが増えている。ベジタリアンやビーガン専門のスーパーやレストランも結構、普及してきた。
日本ではどうだろうか。2016年のデータだが、日本人一人当たりの食肉の年間消費量は31.6キログラムで、過去最高を記録した。食肉の消費が伸びる傾向にあるという。
(2021年4月17日)
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