2021年9月26日更新 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
気候変動対策を求めてハンガーストライキをする若者

ベルリンでは2021年9月24日、早急な気候変動対策を求めて大きな気候デモ「気候ストライキ」があった。それについては、ベルリン@対話工房のサイトでも報告した。


その抗議行動とは別に、気候変動問題について9月26日が投票日となる連邦議会選挙の首相候補3人と公開討論することを求め、8月30日から連邦議会議事堂近くの広場でハンガーストライキをしている若者たちがいる。ハンガーストライキを選んだのは、人類がいずれ気候変動によって、食糧難になることを知ってもらうためでもあるという。


ハンガーストライキは7人ではじまった。しかしこれまで、6人が健康上の理由からハンガーストライキを諦め、ヘンニングさん(21)だけが残った。ただ6日前からレアさんが、ハンガーストライキに参加している。


公開討論に使命された首相候補らは電話で、ハンガーストライキを止めるよう説得してきた。しかしヘンニングさんは、ハンガーストライキを止めようとしない。すでに10キログラム以上も痩せ、車椅子に座らないと動けない状態になっている。


ヘンニングさんはさらに、気候変動緊急事態宣言が発せられない限り、土曜日の25日からは水分も一切とらないと、行動を過激化させる。


ヘンニングさんらは、Fridays for Futureのように抗議デモを続けて政治的圧力をかけるだけでは、気候変動は止まらないとの立場だ。


そのヘンニングさんとレアさんを、緑の党のハーベック共同党首が木曜日の9月23日から金曜日の深夜にかけて訪ね、2人とディスカッションした。


ヘンニングさんは、科学者の言及にしたがってラディカルに社会を変えないと、気候変動は止めようがない。パリ条約でいうように産業革命からの温度上昇を1.5度以内に止めるのは不可能だと主張する。


それに対してハーベック共同党首は、市民のアクセプタンスを得て、市民の協力を得なければ、社会は変えようがないとする。今ラディカルた政策を講じても、市民はついてこれない。そうならないようにするのが、政治の役割でもあるという。


ヘンニングさんらの抗議行動はすでにメディアでも注目され、社会に気候変動の危機的な状態を訴えることはできた。だから政治的には、大きな成果があったと語る。そのためもうハンガーストライキを止め、これから運動を続けていったほうがより効果があるのではないかと、説得しようとする。今ここでハンガーストライキを続けて亡くなっても、何の意味がないことを伝えにきたと、ハーベック共同党首は語る。


しかしヘンニングさんは、科学者のいう通りラディカルな対策を講じないと、将来若者は生きていけない。その意味で、今ハンガーストライキを続けなければならないと譲らない。


実際に、首相候補と公開討論をしても、注目される行動にはなるだろう。しかし、気候変動問題を変えることにはならない。政策もすぐには変わらない。その点で共同討論にこだわるのは、矛盾しているともいわなければならない。


結局、ハーベック共同党首との討論は物別れに終わった。それは、首相候補と討論しても同じだったと思う。


(2021年9月25日)
追記:社民党のショルツ首相候補が9月25日夕方、選挙後に会おうと2回目のオファーをしたことで、若者たちはハンガーストライキを終えた(9月26日)。
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関連リンク:
緑の党ハーベック共同党首と気候ハンガーストライキをする若者との討論(ドイツ語)
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