2021年5月29日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
ドイツとノルウェーの間にグリーン電力専用送電線

2021年5月27日、ドイツとノルウェーを直接結ぶ高圧送電線ノルトリンクが完成、送電を開始した。両国間を結ぶ直接線としては、はじめてのものになる。


ノルトリンクは、ドイツ北部の風力発電で発電されたグリーン電力の余剰電力をノルウェーに送電する。電力はノルウェーで、揚水発電用に下部貯水池から上部貯水池に水をくみ上げるために使われる。


ドイツをはじめ、ヨーロッパ大陸の電力状況に応じ、上部貯水池に貯められた水を使って揚水発電を行い、電力をノルウェーからヨーロッパ大陸に送電する。


再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力専用線といっていい。


ノルウェーで水力発電された電力も、ヨーロッパ大陸に送電される。ノルトリンクは、ヨーロッパの連系線だ。


ノルトリンクは高圧直流送電方式で、総長623メートル。ドイツとノルウェーの変電所を連結する。そのうち、516メートルが海底ケーブル。陸上では、ノルウェーにおいて高架線となっているが、ドイツでは地下ケーブルになっている。


送電容量は、1400MW(140万kW)である。


ドイツで地下ケーブルとなっているのは、高圧高架線に対する反対が強いからだ。反対住民は、景観を破壊し、健康にも影響のある高圧線ではなく、地下ケーブルを求めている。

ドイツでは、北部で陸上と洋上風力発電が拡大。風力発電された電力を南部に送電したい。だが南北を結ぶ送電網の容量が不足し、北部で電力が余る状態が発生している。その分、風力発電において出力抑制する時間が長くなっている。


そのため、南北を結ぶ送電網整備が急務。だが高圧線を設置する地域で、高圧線に対する反対が強く、送電網整備が進まない状態が続いている。


地下ケーブルだと、工期が長くなるほか、メンテナンスが難しいという問題がある。さらに地下ケーブルの工事費は、高架線の数倍となる。


(2021年5月29日)
記事一覧へ
関連記事:
揚水発電は、原子力発電の子どものようなもの
住民は、送電網建設に反対しているわけではない
関連リンク:
テンネット社のノルトリンク説明ページ(英語)
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ