日本では電力小売りの全面自由化後、発送電分離を2020年4月から行なうことが閣議決定されています。発送電分離とは、これまで電力の流れに沿って縦型に統合されていた電力会社の構造を発電事業、送電事業、配電事業、小売事業に分割することです。子会社化も認めないのが原則です。でも日本では、まず子会社化によって発送電分離が進められると見られます。
ドイツの場合、次項で述べるように最初の段階で子会社を認めていました。それによって自由な競争が妨害され、新規事業者は不利な託送料を請求されてきました。子会社化による発送電分離では、日本でも自由な競争が実現できるとは思えません。
本来、発送電分離によって新規事業者が自由化された電力市場に参入しやすくなり、既存の電力会社より不利にならないようになるのが期待されます。自由な競争がより公平に活性化すれば、電気料金が下がることも予想されます。
しかし、これまで世界で電力市場の自由化と送発電分離を実施してきた国の状況を見ると、電気料金は下がるどころか、むしろ上がっています。ドイツの場合、自由化で大手企業が中小企業を吸収してより巨大化しました。石油など化石燃料の高騰も重なって、1998年の自由化後電気料金は上がり続けています。むしろ、再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力の料金のほうが安定していました。
(2017年3月18日掲載)
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