日本では現在、空間線量や土壌汚染、食品汚染に関してたくさんの数値が氾濫しています。ここでは、「ベクレル(Bq)」や「シーベルト(Sv)」の単位が使われています。
ベクレルは、放射性物質が放射線を出す能力の強さを示します。これが「放射能」です。放射能は、「放射性崩壊」と呼ばれるある不安定な核種から別の安定した核種に変わる現象が1秒間に何回起こるかの頻度を示すものです。
たとえば、1ベクレルは1秒間に原子核が一つ崩壊して放射線を出すことを意味します。放射性崩壊が続くにしたがって放射性崩壊の起こる頻度も減り、放射能は時間とともに弱くなります。
放射能の強さが半分になる時間を、「半減期」といいます。半減期が2年なら、放射能は2年で半分に、4年で4分の1に、6年で8分の1になっていきます。
ただ放射能では、放射性物質が危険かどうか、人体に与える影響を評価することができません。
それは、放射能(ベクレル)が同じであっても、放射性物質から放出される(1)放射線の種類(アルファ線、ガンマ線、ベータ線、中性子線など)と(2)エネルギーの量が異なるからです。さらに、放射性物質の影響は(3)放射線を受けるからだの部位(臓器や組織)によっても異なります。
たとえば、トランプのカードを3枚ずつ3回引いてみましょう。
3枚のカードの合計値が3回とも同数になるのは、確率的にはあまり考えられません。それでも、カードはいつも3枚です。たとえカードを5枚引いても、カードを3枚引いた場合よりも合計値が小さくなることもあります。
同じことが、放射能と放射線の関係についてもいえます。
ベクレルの値(放射能)が同じでも(トランプ3枚)、シーベルトの値(放射線量)が同じになることはあまりありません(トランプ3枚の合計値)。たとえベクレルの値が大きくても、シーベルトの値が小さくなることも、大きくなることもあります。
ここで挙げた3つの要素を考慮して、放射性物質が人体に与える影響を示す単位がシーベルト(放射線量)です。
簡単にいうと、放射線量(シーベルト)は放射能(ベクレル)に複数の係数を使って「放射線量Sv=(1)x(2)x(3)x 放射能Bq」の式で換算することができます。
(2013年7月28日、おすと えいゆ) |