気体となった蒸気が液滴となって白く見えるのは、気体中の小さなちりやほこりがその核になるからだ。核がないと、気体が含むことのできる蒸気量よりも多くの蒸気を含むことができる。また、気体の温度が下がれば下がるほど、気体の含むことのできる蒸気量は減少する。
そこで、気体の温度をできるだけ下げてそこに放射線を飛ばすと、放射線が核の役割を果たし、放射線の動きに沿って液滴ができる。そこに光をあてると、放射線の動きが白く見えるようになる。
この原理を利用したのが霧箱だ。
その霧箱が、ドイツ北西部オルデンブルクにあるヘルバルト・ギムナジウムにある。ギムナジウムとは、大学進学を目的として5年生ないし6年生から12年生ないし13年生まで学ぶ中等・高等教育施設のことだ。
同校では、チェルノブイリ原発事故後の1988年に霧箱を設置した。ドイツでは物理の授業において放射線について学ぶことになっており、その時に授業で使ったりすることがあるという。
物理のライヒェルト先生が、授業体験のために滞在している福島県高校生9人のために、霧箱を特別に見せてくれた。高校生たちは、NPO法人アースウォーカーズの独日交流プロジェクトでドイツに滞在していた。
霧箱が十分に冷たくならず、霧箱内には十分な蒸気を充満させることができなかった。でも、自然放射線が流れる軌跡があちこちに見られた。
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放射線について説明するライヒェルト先生 |
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