2018年5月08日更新 − 放射線防護
福一原発事故から7年(1)
− 避難指示区域 − 
避難指示区域はどうなっているのか?

避難指示区域は2012年4月、
・ 避難指示解除準備区域
・ 居住制限区域
・ 帰還困難区域
の3つのクラスに細分されました。現在(2017年4月以降)、そのうち帰還困難区域以外のほとんどが避難指示解除となりました(福島県のサイトを参照)。


ただここで、注意しなければならない点が2つあります。


一つは、避難指示区域の基準値(線量限度、下限)、避難指示解除を決める基準(線量限度、上限)が年間線量で20ミリシーベルトだということです。この20ミリシーベルトという値は、本来原発職員など放射線従事者に規定された年間線量で、一般市民に規定された年間線量の20倍に相当します。


放射線従事者の働く場所は通常「放射線管理区域」といわれ、管理区域の外部放射線の基準(線量限度、下限)は年間6ミリシーベルトです(これは欧州の基準。日本では3カ月当り1.3ミリシーベルトに規定しているが、年間線量にすると5.2ミリシーベルトとなる)。通常、管理区域での飲み食い、寝泊まりは禁止されています。


つまり、避難指示解除によって通常の基準を無視し、普通であれば飲み食い、寝泊まりも禁止されているところで生活することを認めたことになります。


この日本における避難指示解除の状況が既成事実になれば、これまでの平常時に対する一般市民の国際基準も年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げられることが心配されます。


もう一つは、避難指示区域を規定した基本が飯館村など線量の高い一部の地域を除くと(計画的避難区域)、事故原発から一律20キロメートル以内の区域ということです。地域によっては、規定された線量限度を超えないところもあります。避難指示区域とならなかった区域であっても、避難指示区域の一部より汚染されているところもあります。その結果、避難指示区域ではないので避難せずに暮らし続け、高い線量に曝されてきた住民がいることが予想されます。


避難指示区域ということで避難した人には、手厚い補償があります。それに対して、避難指示区域ではないところに暮らし続ける住民は、被ばく線量が高くても補償されません。また、被ばくに対する不安から自主避難しても、補償は制限されます。


この問題は、住民間に不公平感を生み、福島県内で避難住民に対する嫉妬やいやがらせの要因ともなっており、大きな社会問題を引き起こしています。


(2018年4月29日)


福一原発事故から7年
(2)避難指示解除 (2018年4月29日)
(3)食品の放射能汚染 (2018年4月30日)
(4)汚染地域での農作業 (2018年5月03日)
(5)汚染土壌の処分 (2018年5月08日)

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