今年は東西ドイツの壁崩壊20年と、節目の年。
ベルリンの地方紙ベルリン新聞の委託で行われた統一の現状に対するドイツ市民の意識調査(N=1008)によると、ドイツ市民が統一の現状に失望している状況が伺われる。
壁崩壊直後の意識調査では、東部ドイツ市民の71%が自分の生活が改善されると期待していたのに対し、現在、実際に自分の生活が改善されたとした人は46%に過ぎず、むしろ壁があった当時よりも悪くなったとした人が28%にも上った。
西部ドイツでも、89年の調査では52%の市民が生活の改善を期待していたのに対し、改善されたとした人は40%に過ぎなかった。
特に現在、西部ドイツ市民の72%が東部ドイツの生活が当時より良くなったと評価しているのに対し、実際に東部ドイツで生活する市民がそう感じていないなど、東西ドイツ市民の間に、統一に関する実感に大きな違いがあることが浮き彫りになっている。
調査を行ったフォルザ社のギュルナーさんによると、東部ドイツ市民が、統一後西部ドイツに利用されたとの意識を持っているのに対し、西部ドイツ市民には、東部ドイツのために金銭的な負担を強いられたとの意識が強いという。
こうした統一の現状に対する市民の不満は、政治体制の評価にも現れており、東部ドイツ市民の63%、西部ドイツ市民の59%が、社会は不公平との意識を持っている。
(2009年1月3日) |