2018年7月掲載 − HOME − 小さな革命一覧 − 統一記事一覧 − 記事
ドイツ全土にはびこるネオナチ
(2008年12月23日)

13日、ドイツ南部のバイエルン州パッサウで、パッサウ警察のマンニクル署長が自宅前でネオナチと見られる男に刺される事件が起こった。ただ、その容疑者夫婦が今日23日、証拠不十分で釈放されるなど、事件の解明が長期化している。


マンニクル署長が極右活動鎮圧に精力的に取り組み、極右政党のひとつドイツ国家民主党(NPD)から攻撃目標になっていたこと、さらに犯人が「愛国抵抗勢力からのあいさつだ。この左翼の豚野郎め」と叫んだことなどから、事件にはネオナチなど、極右的な思想背景があるものと見られている。


特に、今回の事件が地方の治安当局のトップを標的にするという計画的な事件であるだけに、極右グループの活動がこれまでにない狂暴さで、過激化してきているのではないかとも心配されている。


これまでドイツでは、ネオナチなど極右化問題はドイツ東部地域の問題だとされてきた。だが、今回の事件が、ドイツでも最も豊かな地域のひとつであるドイツ西部のバイエルン州で起こったことも衝撃を与えている。


左派系のフリードリヒ・エーベルト財団が今年行ったドイツの極右化傾向調査によると、ドイツ南西部のバイエルン州、バーデン・ヴュルテンベルク州が極右グループの中心地になってきているという。


実際、ドイツ国家民主党(NPD)の党員数は、バイエルン州で最も多くなっている。


極右問題研究者であるベルリン自由大学のシュトェスさんは、極右化傾向はドイツ東部だけの問題ではなく、東西ドイツでもう差がなくなってきているとする。


ただ、ドイツ東部では今回のような狂暴な事件はなかったとも。


ドイツ西部では、たとえば93年に、ゾーリンゲンでトルコ人家族の住む家がネオナチによって放火され、家族5人が焼死している。


(2008年12月23日)
記事一覧へ
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ