2018年7月掲載 − 小さな革命 − J・Oのベルリン便り
アッハソー、1997年9月

ここのところ小生の周りでは、別れやら離婚が相次いでいる。たとえばゲルハルトは、結婚26年後の離婚。離婚の理由は、失業していた奥さんのガービーが自立していけるだけの魅力的な職を見つけ、子供も大きくなったし、夫と共同生活するよりは一人で生活したほうが気楽だと判断したからだ。ペーターの場合は結婚していなかったが、10年以上も同棲していた。奥さんのインゲにはペーターと一緒になる前に3人の子供がいたが、どうしてもペーターの子供もほしいと結構無理をして4人目の子供を出産。前々からうまくいっていないと聞いてはいたが、インゲが経済的に自立できるようになれば、いずれ別れることになるだろうとは想像していた。インゲはもともとカメラマンだったが、失業して社会福祉関係の仕事につくための勉強をしていたから、その勉強が終わって職が見つかると駄目かなと思っていたが、案の定そうらしい。


彼等以外にも、もうかなり前に離婚して一人で子供を抱えて生活している女性やら男性やらもいる。また、結婚後すぐにセックスレスになり、夫婦の意思疎通がうまく機能しないまま同居生活を続けている夫婦もいる。二人の場合は奥さんが結構優秀な作曲家で、夫がそれにコンプレックスを抱いてしまっているところがある。ここも、もうかなり危ない状況だ。


それに対して、以外とうまくいっているのが同性カップルだ。小生の周辺には男性同士のカップルのほうが多いのだが、こちらのほうが異性同士のカップルより安心して見ておれる。ひとつのカップルは仕事の関係でベルリンとシュツットガルトで別居生活をしているが、暇を見つけては一緒にどこかにでかけたり、週末ベルリンで一緒に過ごしたりしている。ただ同性愛は、地方ではまだ白い目で見られがちのところがあって、地方出身の二人は、いまだに自分が同性愛者であるとを家族に告白できないでいる。彼等には、大都市ベルリンが一番気軽に生活できるようだ。二人は偶然ベルリン工科大のエレベーターに乗り合わせ、そのときにお互いに一目惚れして以来の付き合い。


もうひとつのカップルは結構年配なのだが、本当にすばらしいカップル。小生もうらやましくなるくらいだ。化学関係の研究者と衣装デザイナーのカップルだが、とにかくいろいろな面で趣味がいいし、包容力がある。何かするときはほとんど一緒で、きちんと役割分担ができている。


特に男性の同性愛者に共通しているのは、みんな本当にやさしいということ。これでは、きついドイツ女性の出る幕はないわ、と納得させられてしまう。結構みんな料理好きだし、料理をしない奥さんのぐちをこぼす男性に聞かせてやりたいくらい。ただ、知人などから知り合いのホモちゃんガエイズで死んでしまったと聞かされたりすると、ドキッとさせられる。まあ、小生の知り合いたちはみんな貞節だから、心配ないとは思っているのだが。


ドイツではまだ同性愛の結婚は認められていないが、ベルリン・クロイツベルク区の区長が1年ほど前にホモカップルの結婚式で証人になっているはずだ。もちろん、それでも正式な結婚とはならないが、これはベルリンならではのこと。


数日前ドイツの国会で、正式に結婚した夫婦間の子供と結婚していない両親の間にできた子供の権利を同等にするという法律が成立した。これは非常にいいことなのだが、両親が別れた場合の問題や相続問題に関する内容が中心。どこか両親が別れてしまうことを前提としているような気がしてくるが、それは小生の偏見か。(J・O)


後記:現在、同性愛者は人生のパートナーとして正式に役所で誓いを述べ、届け出ることができる。その場合、戸籍簿も作成され、異性夫婦にかなり近い権利を有することができる。

(1997年9月1日)
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