2018年7月掲載 − 小さな革命 − J・Oのベルリン便り
アッハソー、2002年8月

欧州統一通貨ユーロが導入されて、7ヵ月が経過した。日本語では「ユーロ」と英語読みされる新通貨だが、実際にユーロといって通じるところはあまりない。ドイツ語では「オイロ」と呼ぶ。ユーロの100分の1の単位はセントだが、ドイツ語で「セント」と読むべきか、「ツェント」と読むべきか、またCentと綴るのか、Zentとするのか、議論された時期があった。ドイツではスペルはCent、公式には「セント」と読むことになっている。しかし日常生活では、「ツェント」もよく耳にする。


まだ慣れないのが、価格感覚だ。いまだに、2倍にしてマルク換算している場合が多い。ただおかしなもので、2倍にしてマルク換算すると、どうしても物価が高くなった気がする。統計局の統計はユーロ導入後の物価上昇率を2%以下としているが、消費者には値上げ感覚が強い。そのため、ユーロのことを「トイロ」と皮肉ったりする。これは、ドイツ語のteuer(高いの意。トイアと読む)をもじったものだ。


実際には便乗値上げも結構あったようで、ひどいものはマルクをユーロに換えただけのものもあった。つまり、価格は2倍近くに跳ね上がったことになる(公式レートは1ユーロ=1.95583マルク)。


もうひとつ困るのが、チップを渡す時だ。マルクの場合、端数を切り上げて1マルクチップを渡していたものが、端数を切り上げて1ユーロ渡すと、これまでの倍近くチップを渡した勘定になる。かといって、端数を切り上げただけでは、少なすぎるのではないかと心配になる。そのため、しょっちゅうチップを渡し過ぎたかな、少なすぎたかなと気をもんでいる。50セントコインを渡せばいいのだが、これまでの習慣でユーロのコインでないと悪いかな、と思ったりもする。


ユーロ圏内で旅行する限り両替えの必要がないので、小生はたいへん便利になったと思っている。しかし中には、両替えして日常使い慣れていない通貨を手にすることができないので、旅行した気分になれない、とこぼす人もいるようだ。特にスペインやギリシャ、イタリアなど南欧にいく以上は、通貨が同じでは気分が出ないそうだ。


紙幣は共通だが、コインだけは裏が各国でデザインが異なっている。もちろん、裏のデザインに関係なく、コインはどの国でも通用する。小生はドイツ以外で作製されたコインがこないかと期待を膨らませているが、これまでドイツ国内でドイツ以外のコインに遭遇したことはない。この前オランダにいってはじめて、ドイツ以外のコインを手にした。新しいものを手にしてしまえば、何だこんなものかと納得した気分になるものだが、ユーロのコインにはまだまだ他の国のコインもあるので、いつも子どものように、新しいものがこないかなと、わくわくした気分で待ち望んでいる。(J・O)


(2002年8月1日)
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