都市造りにおいて、いかに都市を冷やすかを考えるべきだと思います。
前回、道路を直線にして道幅を広くすることで、風通しをよくすべきだと書きました。都市の風通しをよくするため、川を有効に使うべきだとも書きました。
そのためには、道路と川の周辺の建物をどう配置すべきかも考えます。川の周りにあまりに高い建物がぎっしり詰まっていては、川があっても涼しい風が周辺に拡散しません。川の両側に遊歩道があれば、川幅を広くしたのとそれほど変わらず、風通しもよくなります。
ちょっとした工夫で、都市は涼しくなります。
歩道も照り返しの強いアスファルトやコンクリートにするのではなく、歩道は石やコンクリートのブロックにします。それによって、ブロックの間の目地から、土が呼吸できるようになります。地面に貯まった熱が、そこから放出されます。
さらに大切なのは、都市を緑地化することです。
すでに、屋上や屋根を緑地化する傾向も出てきています。でもここでいう緑地化とは、都市に木を植えて都市に影をつくるということです。
夏、大きな公園の近くにいくと、涼しい風が公園から流れてくるのを感じます。それは、公園に大きな木がたくさんあって影があるからです。夏の暑い日には、木が太陽の暑い日差しを遮って影ができます。その下は、涼しいのです。その涼しい空気は、暑い方に流れて拡散します。
都市において、こうした自然の論理を利用します。
道路の両側に木が植えてあれば、夏になると歩道に影ができます。木が落葉樹であれば、秋になれば落葉します。その落ちた葉を集めてコンポストにすれば、公園などの植物のための肥料にできます。
冬になれば、木に葉がないので日が差し込んできます。その日差しは、冬の寒さを緩和してくれます。
こうして、都市においても自然の力を取り入れます。都市を自然の生態系の中に取り込むといってもいいかもしれません。
(2019年4月03日)
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