これまで何回か、生物資源のバイオマスを使って熱を供給することについて書きました。
ここでバイオマスとは、木を伐採したもの、おがくず、農業から排出される不要な茎や葉、わら、あるいは家庭やレストランなどで排出される生ゴミ、残飯など、いろいろ挙げることができます。
それらを家畜の糞と混ぜて発酵させれば、バイオガスが得られます。これをたとえば自動車のエンジンの燃料にして発電すれば(自動車エンジンを使って発電可能!)、電気と熱が得られます。
その熱は、地下に敷設された配管網を通して熱を必要としているところに供給します。
木の枝やおがくずを燃料として、専用のボイラーで燃やせば、熱が得られます。木を細かくして固め、木質ペレットにすることもできます。それをボイラーの燃料として使います。
それでは、その熱をどう配給するのでしょうか。
集合住宅であれば、ボイラーと熱を貯蔵しておくタンクを地下に設置して、熱を建物内の配管で各世帯に供給します。
学校やスポーツ施設などの公共施設では、そのどこか1カ所にボイラーを設置して、ボイラーから地下に敷設した配管を通して各施設に熱を供給します。
一般世帯の場合も、発電所からの排熱や熱供給専用施設からの熱を道路などの地下に敷設された地域暖房熱配管網を通して、各世帯に熱を供給します。
ここで、熱とは熱いお湯だと思ってください。そのお湯を給湯や暖房に使います。
各家庭で、木質ペレット用ストーブを設置して、それを暖房用に使う方法もあります。でも、大きなボイラーを使って配管網を通して熱を供給したほうが省エネになり、コストが削減できます。
ただそれは、住宅地の場合でのこと。家が分散して立地しているところでは、各家庭ごとに暖房したほうが効果的です。
ボイラーは1カ所に1基だけ設置するのではなく、複数基設置します。そのほうが、熱の需要に対応しやすく、熱をむだにしません。
ただ、熱とボイラーをできるだけ効率よく利用するため、冬の寒い時だけに備えてリザーブのボイラーを設置しておく場合もあります。
こうすれば、暖房の熱を再生可能エネルギーだけで供給できます。
熱供給用ボイラーや地域暖房熱配管網は、生活に必要なライフラインです。
そのためドイツでは通常、それを営利を目的とした企業ではなく、「シュタットヴェルケ」と呼ばれる自治体のエネルギー公社が設置、運用しています。さらに、住民が共同で協同組合を設立して、自治管理するケースも増えてきています。
(2019年8月21日)
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