夏になると、九州などで太陽光発電施設を「切り離す」ことが問題になります。専門的には、「解離」とか「出力抑制」といいます。
ここで、「切り離す」とはどういうことなのでしょうか。
太陽光発電など再生可能エネルギーで発電するのは、天候に左右されます。それによって発電量が大きく変動します。たとえば夜間、太陽光発電では発電できません。風がないと、風力発電では発電できません。
しかし九州など南部では、夏の日照時間が長く、毎日カンカン照りの日が続きます。その時、太陽光発電の発電量が増大します。
発電された電力は、送電網に送られます。問題は、送電網にその電力を受け入れられるだけの容量があるかどうかです。
九州など太陽光発電に適した地域では、たくさんの太陽光発電施設ができてきました。太陽発電施設では、大型のメガソーラーでも数ヶ月で設置できます。しかしそれに対して、送電網を整備するには数年もかかります。
その結果、発電施設と送電網の間で不釣り合いが生まれます。
つまり、太陽光発電施設ができて発電量が増えても、送電網の容量不足からその発電された電力を送電できない状態となります。
送電網では、流れる電力量が多すぎても、少なすぎても、送電網が不安定になって送電できなくなります。その結果、地域全体が停電してしまいます。
停電を避けるには、送電網の容量に応じて電力を送電するしかありません。そのためには、発電施設で発電を停止するか、電力を送電網に送電できないようにするしかありません。
そのため、太陽光発電による発電量が多すぎると予想される場合、送電網を安定性を維持するため、事前に太陽発電施設から送電網に電力が送電されないようにします。
そのことを「切り離す」とか「出力抑制」といいます。
(2019年11月06日)
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