ドイツでは、再生可能エネルギー法が再生可能エネルギーで発電された電気を固定価格で買い取る制度(FIT制度)を規定しています。それによって発電施設が稼働すると、電気を買い取る価格が20年間固定されます。
そのため多くの場合、FIT制度の恩恵を受けることのできる20年が経つと、再エネの発電施設が解体され、新しい施設が設置されています。こうして、FIT制度によって再び市場で取引されるよりも割高の固定価格で、電気が売買されます。
その再生可能エネルギー法が施行して、20年になります。それ以前にも、FIT制度がありました。でも、太陽光発電が普及してきたのは、この再生可能エネルギー法のおかげでした。
その結果、これから解体されるソーラーパネルが益々増えることが予想されます。本来ソーラーパネルの寿命は、最低でも25年だといわれます。その意味で、20年でソーラーパネルが解体されてしまうのは、FIT制度による弊害だといわなければなりません。
解体されたソーラーパネルは、再利用されなければなりません。
EUには、WEEE(電気電子廃棄物)指令があります。これは、電気電子機器のリサイクルを規定したものです。そのWEEE指令が改正され、ソーラーパネルもリサイクルすることが義務つけられました。
それによると、古くなったソーラーパネルの最低85%を回収し、全体の最低80%をリサイクルすることが義務つけられます。たとえば、太陽電池の原料であるシリコンを回収して、再び太陽電池をつくります。
ドイツでは2016年から、WEEE指令が国内で法制化され、ソーラーパネルをリサイクルしなければならなくなっています。リサイクル技術はすでにあります。
ドイツでは2007年、ソーラーパネルのメーカーなどが集まってソーラーパネルをリサイクルする業界団体PV Cycleを設立しました。団体は世界全体に拡大され、世界各国から関連企業が参加しています。
現在ドイツでは、ソーラーパネルはPV Cycleの回収場で廃棄しなければなりません。ソーラーパネル(モジュール)廃棄物が40枚以上あれば、PV Cycle加盟業者がソーラーパネル廃棄物を回収してくれます。
(2020年5月13日)
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