いや、再生可能エネルギーで発電された電気は、グリーン電力です。問題はむしろ、再生可能エネルギーで発電された電気に対する固定価格買取制度(FIT制度)の枠外で発電されたグリーン電力をグリーン電力としてどう立証し、それをどう取り扱っていくのかのほうが大切です。
これまで主に、FIT制度を廃止した後、再エネ電力の買い取りはどうなるのか、FIT制度による負担はどうなるのかなど、FIT制度後の買い取り遺産の問題について述べてきました。
それでは、FIT制度廃止後に再エネ電力はどう取り扱われるのでしょうか。
FIT制度が廃止されても、FIT制度による再エネ電力の買い取りはまだ20年続きます。FIT制度に基づいて買い取られる電気は、依然としてFIT電力です。それに対して、FIT制度に基づいてはもう買い取られない電気は、非FIT電力となります。
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風力発電設備の中。写真は、発電機やブレードからの回転を増幅させる増速機の入ったナセル(タワーの上の部分)の内部。今回は、前回の写真に続く部分の内部写真です。青いところが、ブレードからの回転を増幅させる増速機だと見られます。ドイツ北部デンマーク国境沿いで撮影 |
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FIT制度が廃止されると、年々非FIT電力が増えます。でも実際には、FIT制度下においても、非FIT電力はあります。FIT制度枠外で発電され、FIT制度による固定価格では買い取られない再エネ電力です。
日本ではFIT制度をなくす方向だと聞いています。それだけにいずれ、非FIT電力だけになる可能性もあります。ただその場合、ちょっと気になることがあります。
それは、再エネで発電された電気と、原子力発電や火力発電で発電された電気をどう区別するのかです。
電気は送電網に入ると、すべての電気はもう区別できません。電気は電気です。発電方法では区別できなくなります。再エネで発電された電気を原子力発電や火力発電で発電された電気と区別しないと、消費者にとってグリーン電力の付加価値がありません。供給してもらう意味もありません。
この問題に対応するためには、電気が再エネで発電されたものであることを証明するシステムが必要です。それがないと消費者には、再エネで発電されたグリーン電力を供給してもらうだけの付加価値がありません。
信頼できるグリーン電力小売事業者だから心配ないといってしまえば、それまでです。でもいずれ、どのエネルギー源で発電しようが、すべての電気をグリーン電力として販売しようとする悪徳事業者が出てくる可能性は完璧には排除できません。
それを防止する仕組みが必要です。
ドイツの場合、非FIT再エネ電力は発電設備と送電網との接点で1kWh毎に把握されています。さらにその把握された電気に対して1000kWh毎に、グリーン証書が発行されます。グリーン証書は電気と一緒に取引され、最終消費者にグリーン電力が供給されたことを証明するために使われます。
こうして、グリーン電力であることを証明します。同時に、証書を取引すること(売買すること)で、グリーン電力の付加価値にそれ相応の対価を支払うようにします。
ぼくの知っている限り、日本にはそこまでの仕組みがまだないはずです。でも何らかの形でグリーン電力を証明する仕組みがあったほうが、グリーン電力の信頼性をより高めます。
(2021年4月21日)
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