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ウラン鉱山跡が公園に
(2007年4月27日)

27日、ドイツ南東部テューリンゲン州のゲラとロンネブルクで今年の全国庭園祭がオープンした。


全国庭園祭は、1951年から(当時は旧西独で)毎年各地方持ち回りで開催され、日本でいえば植樹祭のようなものだ。


ただ、今年の全国庭園祭は特別の意味を持っている。


開催地のひとつであるロンネブルク地区は、1954年から旧ソ連と旧東独が共同でウランを採掘していたウラン鉱山ヴィスムートのあったところ。1990年に閉鎖されるまで、全体で12万人が働き、約23万トンのウランが採掘された。当時は、米国、カナダに次いで、東独は世界で第三番目のウラン採掘国にまで成長していた。旧ソ連の核兵器のために、ウランを供給していたわけだ。


ただその影響で、90年には、5万3000人の元作業員が肺がんで、1万5000人の元作業員が珪肺症で労災の認定を受けている。また、5000人から1万7000人の人が放射線の影響で死亡したと推定されている。


ドイツ政府は統一後の91年、ヴィスムートのあったウラン鉱山跡を再開発するため、62億ユーロ(約1兆円)を投入することを決定した。そして、2006年末までに48億ユーロ(約7700億円)の資金が投じられてきた。再開発事業は現在、ほぼ完了するところまできている。だが、最終的に再開発事業が終了するのは2015年の予定だ。


ロンネブルク地区は冷戦後、50年余の年月を経て、再びテューリンゲン地方特有の丘一面に広がる緑の景観を取り戻した。


全国庭園祭は90ヘクタールの敷地で、10月14日まで開催される。


(2007年4月27日)
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