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自動車税改革のウソ
(2009年1月24日)

ドイツ政府は、自動車税を二酸化炭素排出量を基準に課税することで改革するための概要を公表していたが、そこには、重大な妥協案が隠されていた。


当初公表されていた改革案の概要によると、2011年までは120g/kmまでの二酸化炭素排出量を非課税として、それ以上の二酸化炭素の排出を1g/kmにつき2ユーロ課税する。


だが、実際の自動車税改革案では、さらに、排気量を基準に二段階で課税することが規定されていた。


それによると、排気量に対する課税は、ガソリン車の場合、排気量100cm3当たり2ユーロ、ディーゼル車の場合、100cm3当たり10ユーロとするものの、ガソリン車の場合は2.5リットル、つまり50ユーロまで、ディーゼル車の場合は3リットル、つまり300ユーロまでを上限とし、排気量がそれ以上でも、それ以上の排気量には課税されない。


そうなると、排気量の大きい車であればあるほど、現行制度に比べて減税額幅が大きくなり、燃料消費と二酸化炭素排出量の多い高級車ばかりが優遇される。


その結果、メルセデスやBMWなどドイツの高級車製造メーカーが優遇されることになる。


国政与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)がドイツ南西部の高級車製造メーカーの立地地域を地盤とすることから、政治的圧力で財務省に妥協を強要していたのだった。


本来、環境にやさしい自動車を優遇するための自動車税改革のはずが、妥協案では全く逆効果をもたらす結果になることから、緑の党や環境団体などは猛反発している。


政府内でも、社民党(SPD)のガルリエル環境大臣とティーフェンゼー交通大臣が妥協案に反対しており、まず来週27日に、政府与党間でさらに妥協点を見出すため、会合することになった。


環境先進国といわれるドイツの看板も、金融・経済危機の影響で錆びが目立ちはじめた。


(2009年1月24日)
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