2018年10月13日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
内燃機関に赤信号

EUの環境担当大臣理事会は9日、2030年から販売される自動車の二酸化炭素排出量(ここでは、ガソリン車が対象となる)を2021年から販売される自動車の基準値(平均95グラム/km)に対し、35%削減することで合意した。


欧州委員会は当初、ドイツなど自動車国の要望に応じて削減率を30%とすることを提案。だが、欧州議会が40%削減することを決議したことで、議長国のオーストリアが35%の妥協案を提示していた。


EU加盟国においても、ドイツ以外のフランスやイタリア、スウェーデンなどの自動車国も40%からそれ以上の削減を要求していた。それに対して、自動車国ドイツや自動車製造工場のある東欧諸国は、30%がぎりぎりの線だと主張していた。


理事会の決議では、ドイツが35%支持で妥協し、35%が多数を得た。ただ理事会の合意は、まだ最終的なものではない。今後、欧州議会との間でさらに妥協案を探ることになる。


今回の理事会の決定は、ガソリン車を製造、販売する自動車業界にとって技術的にかなり厳しい条件となる。特に大型車、高級車を販売するドイツにとっては、ガソリン車の存続に赤信号が灯ったに等しいとも見られる。


ディーゼル車においても、ドイツの自動車メーカをはじめとして、欧州の自動車メーカはディーゼル車の排出する窒素酸化物(NOx)量をごまかして販売してことが明らかになった。ヨーロッパの大都市では、窒素酸化物(NOx)排出基準を遵守できず、ディーゼル車の走行を禁止せざるを得ない道路も出てきている。


これらの状況を見ると、ヨーロッパでは2030年当りを境にガソリンエンジンとディーゼルエンジンの内燃機関が終わりに近づいていると見るべきだと思う。


今後ヨーロッパでは、電気自動車への転換を加速せざるを得なくなると見られる。


(2018年10月13日)

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関連サイト: 欧州委プレスリリース
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