2018年11月13日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
原子炉を寝かせてから解体

安全貯蔵という廃炉方式から説明しよう。


安全貯蔵というのは、名前の通りだ。原子炉は停止してもまだ放射線量が高いので、かなり危険な状態になっている。そのため、危険な放射性物質をまず減衰させて放射線量が下がるまで原子炉を安全に保管し、放射線量が下がってから原子炉の解体をはじめるということだ。


ドイツでは、原子炉を安全に保管する期間をだいたい30年と想定している。


ただ、停止後すぐに安全貯蔵に入れるわけではない。圧力容器から核燃料を摘出するほか、原子炉が冷えるのを待って冷却水など原子炉の運転に必要だった媒体(ユーティリティ)もすべて取り除く。また、原子炉につながっている配管なども切断して、原子炉周りにある汚染度の低い機器や建屋などを解体する。


それで、原子炉を密封して安全に保管できるようにし、約30年寝かせておく。原子炉の格納容器を使って、中間貯蔵しておくといっていいかもしれない。


簡単にいうと、こんな感じだ。


原子炉の放射線量が下がってから解体するので、解体時における廃炉作業の危険を低減できるという利点がある。


ただ安全貯蔵の期間が長いので、原子炉のことを熟知している現地職員を解雇したり、配置転換せざるを得ない。そのため、現場の状況やノウハウを熟知した職員が解体時にはもういないという欠点がある。


またその間、原子炉が残ったままなので、地震など自然災害によって損傷したり、テロの標的になる心配もある。


次回は、即時解体について説明する。


(2018年11月13日)
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