2018年8月05日掲載 − 再生可能エネルギー
バイバイ自動車中心社会

ドイツは本来、地方分権・経済分散型社会となっている。そのため、ドイツにはそれほど大都市はない。人口がドイツ最大のベルリンでも、住民数は400万人にならない。


そんなドイツでも、ベルリンなど大都市に人口が集中する傾向が出てきた。その結果、住宅難が深刻となるばかりでなく、交通渋滞が激しくなり、大気汚染も大きな問題になってきた。


それと同時に、これまでの交通政策を大幅に転換すべきだという声も出てきている。


たとえばベルリンでは、自転車専用道路が積極的に拡充されている(「グリーン電力で走るドイツ鉄道」を参照)。乗り捨てレンタル自転車も爆発的に増え、歩道に乗り捨てられた自転車が歩行者の邪魔になるなどの問題が発生している。


ベルリン工科大の社会学教授で、ベルリン科学センターの研究部会長のアンドレアス・クニーさんはそれでは不十分だとして、もっとラディカルな政策転換を求める。


教授は、これまでの現代社会を「自動車優遇社会」として、「自動車に買おう、自動車に乗ろう」の自動車中心社会が意図的につくられてきたという。そこから、脱皮する必要がある(「自動車を売る社会から移動が楽な社会へ」を参照)。


ドイツでは自動車を買っても車庫証明は不要で、路上駐車が一般化しています。ドレスデン工科大の試算によると、公共道路を自動車駐車場として利用する場合、駐車場の公共投資は、駐車場1台当たり年間3500から5500ユーロ(45万から70万円余りに相当)に上る。この中には、工事費、維持費、修理費、除雪費などが含まれている。それに比べると、駐車料金はあまりに安すぎる。まず、駐車料金をラディアカルに引き上げるべきだと、教授は主張する。


それに代わって、自転車やカーシェアリングを促進すべきだという。こうして、自家用車を都市の中心街から締め出す方法を考える。2030年以降は、バスなどの公共交通も含め、電気自動車以外は中心街での通行を禁止すべきだとする。


同時に、都市の公共交通網を改善しなければならない。教授によると、自動車中心政策が行われてきたことで、公共交通への投資が十分に行われてこなかった。ベルリンをはじめドイツでは、90年代後半から近距離交通の整備が重要な課題とされてきた。だが、それが実現できない状態が続いている。それをすぐにでも方向転換し、公共交通を最も重視しなければならない、というのが教授の持論だ。


公共交通については、エストニアの首都タリンで2013年から地元住民に対する無料化が実施されている。オーストリアの首都ヴィーンでは、公共交通の年間チケットを365ユーロ(1日1ユーロ、4万7000円相当)に引き下げるなどした。


こうしたヨーロッパの他の都市での取り組みが、ドイツでも注目されている。今後このサイトでも、こうしたヨーロッパ各地の取り組みを機会あるごとに取り上げていきたいと思う。
(2018年8月05日)

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