2019年10月05日掲載 − 再生可能エネルギー
歩行者オンブズマン
− 歩行者にやさしい街をつくる −

ドイツ南西部バーデン・ヴュルテムベルク州北部に位置するハイルブロン市。人口は12万人余だが、ドイツでは中規模の都市に位置付けることができる。


この都市に、2013年はじめから「歩行者オンブズマン」という役職が設けられている。歩行者オンブズマンの役割は、街を歩行者にやさしくすることだ。


当初から歩行者オンブズマンを務めるシュテファーン・パプシュさんは、「歩行が大切な移動手段であることが忘れられてしまった」とする。それは、社会が自動車中心社会になってしまったからだ。でも街の中心街では、歩いたほうが目的地に早く到達することができる。


自動車中心につくられた街を歩行者にやさしくするための計画を立案して、それを実現するのがパプシュさんの役割だ。そのために、自分で街を歩いて街の状況を把握するほか、警察や商工会、障害者団体など関連団体の参加する作業部会で、どうすれば歩行者にやさしくなるかをいろいろと議論する。


ハイルブロン市が歩行者オンブズマンを設置したのには、いくつかの理由がある。


その一つは、自動車からの排ガスで中心街の大気汚染が目立つことから、中心街の交通量を大幅に減らしたいからだ。さらに、市民の健康を考えると、歩くのはからだにいい。市民の健康造りは市の財政負担の軽減にもつながり、市としても歩く運動を促進したい。


そこには、こどもの肥満化の問題もある。こどもの学校への送り迎えは、こどもの安全を考えて親が車でしている場合が多い。それによって、こどもの肥満がより促進されている。それは、こどもが安全に登下校できる街になっていないからでもある。だからパプシュさんは、「こどもが安全に登下校できるように街つくりをするのもとても大切だ」という。


もう一つは、街のコミュケーションを促進したいからだ。歩けば、市民同士が出会い、対話できるチャンスが生まれやすい。歩行を促進することは、社会政策でもあるのだ。高齢化で、外に出ない高齢者が増えている。それを防止するためにも、高齢者でも楽に歩行できる街つくりが必要だ。


ハイルブロンの市街に入って驚いたのは、シッピングのできる中心街のメイン道路がほとんど歩行者専用になっていることだ。


パプシュさんによると、当初は商工会などから強い反発があった。でも、今はむしろ感謝されているという。歩行者専用道路が増えて、街に活気が出て、商店の売り上げが増えているからだ。


パプシュさんは、「中心街の歩行者専用エリアを、今後さらに大幅に増やしていく」とする。


なおドイツでは、歩行者オンブズマンを置いている都市はハイルブロン以外には、まだライプツィヒしかない。スイスでは、チューリヒに歩行者オンブズマンが設置され、積極的に歩行者にやさしい街つくりが行われている。


ハイルブロンにおいて具体的にどういう施策が講じられているかについては、次回写真と一緒に事例を紹介する。


(2019年10月05日)
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関連サイト:
ハイルブロン市公式サイト
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