2019年3月10日掲載 − 再生可能エネルギー
再エネは送電網を不安定にするのか?

日本では、九州で太陽光発電が出力抑制される頻度が増えている。太陽光発電の発電量が多くなって、送電網の需要と供給のバランスが崩れて、送電網が不安定になるという理由だ。


出力抑制
送電事業者50ヘルツの出力抑制の状況
(出典:50ヘルツ社)

左のグラフは、ドイツ東部の高圧送電網を運用する送電事業者50ヘルツ社(50herz)の出力抑制の状況を示す。グラフで、オレンジ色の部分が、ガス、火力、原子力など従来の発電方法で発電される電力が国内事情で出力抑制された分、黒色の部分が、ヨーロッパ大陸では送電網が連系しているので、ドイツ国内ではなく、国外事情で出力抑制された分、青色部分が、再生可能エネルギーで発電される電力が国内事情で出力抑制された分を示す。


2018年のデータはまだ暫定値だが、50ヘルツ社の運用エリアでは2018年において、9万6800GWhの電力が発電された。そのうち、56.5%が再生可能エネルギーによるものだった。全発電量のうち、出力抑制されたのは3745GWhで、全体の4%弱だった。


出力抑制された電力は、グラフを見ればわかるように、そのほとんどが従来の発電方法によるもの。再生可能エネルギーでは、出力抑制されるのはほとんどが風力発電だという。


ドイツでは、元々メガソーラーの設置場所選定には厳しい制限がある。だが再生可能エネルギー法改正で、一時メガソーラーからの電力の買取価格が優遇されたことから、太陽光発電の発電量が大幅に拡大した。そのため、ドイツはその優遇措置を改正せざるを得なくなったことがある。現在は、買取する電力の固定価格が入札制度によって確定するため、メガソーラーはもうそれほど増えていない。


現在は、自宅の屋根などにソーラーパネルを設置する一般世帯も増えている。ただ同時に、自分の家で発電した電力を自家消費するケースも増えてきた。今後、自家消費の割合が益々増えていくものと予想される。


しかし50ヘルツ社によると、太陽光発電におけるこうした変化は、配電網に影響を与えるが、運用する高圧送電網には影響を及ぼすことはないという。高圧送電網は、主に風力発電用だと見るべきだと説明された。


また50ヘルツ社の運用エリアでは、再生可能エネルギーによる発電量の割合がドイツ全体における再生可能エネルギーの割合の1.5倍以上になっている。しかしそれでも、送電網が不安定になったことはないという。


50ヘルツ社によると、出力抑制される電力量が減っているのは、ドイツ東部南部とドイツ南部のバイエルン州を結ぶ高圧送電網を整備、拡充したことによると説明された。


(2019年3月10日)
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