2019年7月23日掲載 − 脱原発
廃炉は終わらない

すでに書いたように、クリアランス基準を設けることで、廃炉によって排出される放射性廃棄物の量を削減する。


(法的に)放射性廃棄物として残るのは、使用済み核燃料を除くと、低中レベル放射性廃棄物だけとなる。その量は、廃炉によって排出される廃棄物全体の約5%になる。


低中レベルの放射性廃棄物は、高レベル放射性廃棄物と違って高温ではない。そのため、最終処分するためにまず冷やす必要はない。だから、中間貯蔵せずにすぐに最終処分できる。


ただそれは、放射性廃棄物をすぐに最終処分場に搬入して、処分できることを前提としている。しかし放射性廃棄物は、最終処分場があっても、廃炉後すぐに最終処分することはできない。


それは、なぜか。


ドイツの場合、低中レベルの放射性廃棄物も地層処分を前提としている。そのための最終処分場には、地層に放射性廃棄物を搬入するための竪坑が一つしかない。だから、最終処分場において1日に処分できる量はかなり限られているのだ。


廃炉によって排出された放射性廃棄物は、最終処分場に搬入される順番を待たなければならない。


ドイツの場合、脱原発を定めた2004年の原子力法改正によって、それまでのように使用済み燃料を中央中間貯蔵施設で保管するのではなく、原発サイトに中間貯蔵施設を設置して保管することに変更された。それ以降、各原発サイトには中間貯蔵施設が設置された。


廃炉によって排出された放射性廃棄物はまず、原発サイトの中間貯蔵施設に保管される。そして、最終処分される順番を待つ。


ただ全体の5%とはいえ、原発全体を解体して排出される放射性廃棄物は莫大な量だ。そのため、原発サイトでの中間貯蔵がかなり長期になることがわかってきた。


ドイツではこれまで、最終処分だけが国の管轄で、それに至るまでの廃炉と中間貯蔵は原発を有する電力側の管轄だった。ただ中間貯蔵の長期化が明らかになるとともに、ドイツ政府は政策を変更。中間貯蔵も国の管轄とせざるを得なくなった。


そのため、原発サイトの中間貯蔵施設は国に供与される。


その結果、原発のある地元住民にとっては、廃炉後も放射性廃棄物とともに生活する日々が長く続くことになる。


(2019年7月23日)
記事一覧へ
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ